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第4回:「管理」から「支援」へ:マネジメントの再定義 ─上司は“答える人”ではなく、“問いを投げる人”へ─

求められるコーチング的マネジメント

日本企業の多くが抱える課題のひとつに、「管理職が疲弊している」という現実があり
ます。
部下の育成、評価、業績目標の達成、上層部との調整……。
あらゆるプレッシャーの中で、上司は「どう導くべきか」「何を教えるべきか」と悩み続けています。しかし実のところ、これまでの「マネジメント=管理・指導」という発想そのものが限界を迎えているのです。

かつてのマネジメントは、上司が「正解を知る人」であり、部下は「その通りに動く人」でした。ところがVUCA時代においては、上司自身も「答えを持たない」状況が常態化しています。市場の変化が早く、昨日の成功法則が今日には通用しない。そんな環境で正しい指示を出そうとすればするほど、チームの創造性は失われ、上司も部下も行き詰まります。
今、求められているのは「管理する上司」ではなく、「支援する上司」です。
コーチング的マネジメントとは、部下の可能性を信じ、主体的に考え行動することを促すスタイルです。
指示や助言を与えるよりも、問いかけによって思考を深めさせる。
「どうしたらいい?」ではなく「あなたはどう考える?」と問うことで、部下の内側から意欲と責任感が生まれます。この転換こそが、マネジメントの再定義です。

コーチングを用いた支援型マネジメントへ

ある企業の営業部では、目標未達のチームを対象に「コーチング型1on1」を導入しました。上司は成果指導ではなく、「今の状況をどう感じている?」「どんなサポートがあれば前に進める?」と問いを投げかけ見守ります。
3カ月後、チームの雰囲気が明らかに変わりました。
メンバーが互いに相談し合い、課題を自分ごととして捉え始めたのです。
結果として数字も改善し、「上司が答えを出さない方が成果が出る」という逆説的な気づきが生まれました。
支援型マネジメントは、単なるスキルの置き換えではありません。
それは、「人を信頼する姿勢」への転換です。
コーチングでは、「人は本来、答えを持っている」という前提に立ちます。
上司がその信念を持つことで、部下は「信頼されている」と感じ、自律的に動き始めます。
この信頼の循環こそが、チームのパフォーマンスを長期的に高める最も確かな方法です。
もちろん、支援型マネジメントを機能させるには、上司自身の内的成長が欠かせません。
自分の中の「コントロールしたい欲求」や「失敗を恐れる感情」と向き合う必要があります。

「他者を支援する前に、自分を支援する力」を育てる

コーチング研修が効果的なのは、単にスキルを教えるからではなく、上司自身が「自分をどうマネジメントするか」を学ぶからです。つまり、コーチングとは「他者を支援する前に、自分を支援する力」を育てる営みでもあるのです。
これからの企業において、マネジメントは教える力ではなく、引き出す力によって評価されるようになるでしょう。管理ではなく支援、命令ではなく対話、コントロールではなく信頼です。上司が問いを通して部下の思考と感情を動かすとき、チームは自ら成長を始めます。それが、持続可能な組織をつくるための新しいマネジメントの姿です。

株式会社コーチビジネス研究所(CBL)は、エグゼクティブコーチの養成を行っているコーチング専門機関です。個別コーチングのみならず、組織コーチングにも取り組んでおり、特に独自に開発した「グループコーチングWA」は、いま多くの企業で導入が進んでいます。詳しくは下記をご覧ください。

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国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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