エグゼクティブ・コーチングへの誤解「業界経験のないあなたに何故経営者のコーチができるのですか?」(2019/08/06)

残念ながら、日本ではまだエグゼクティブ・コーチングの素晴らしい本質とその効用が理解されているとはいえないのが現状です。

エグゼクティブ・コーチングについて話をすると、
「〇〇業界関係の職業に関わった経験がない人が、どうして経営者のコーチができるのでしょうか?」
と多くの人から聞かれます。

曰く、
「この分野にそれほど造詣が深いわけではないのに、どうしてコーチができるのか」
ということですね。

エグゼクティブコーチの役割

経営者に行うエグゼクティブ・コーチングとは、企業経営に関わるものがテーマの中心にはなりますが、経営の要諦はどんな産業も企業も変わりません。
あらゆる経営に通じる基本理念や経営方針、事業計画にまつわる戦略や戦術、そしてコーポーレート・ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどをベースにして、経営者が抱えるさまざまな問題や課題を、あくまでも『経営者が主体となって』解決するお手伝いをするのが、エグゼクティブコーチです。

主体は経営者自身にあり、エグゼクティブコーチには、特殊な業界知識や製品知識は必要ありません。
エグゼクティブ・コーチングの目的は、経営者が安心して経営に専念できる環境を整えることです。

エクゼクティブコーチは具体的に次のような関わりを持ちます。

  • エグゼクティブ(経営者)の新たな気づきやアイデアの創出、潜在能力の開発
  • 将来ビジョンの策定、目標設定やコミットメント
  • 動機付けやモチベーション、勇気づけの提供
  • リーダー教育、後継者の育成、社内コーチの育成
  • 経営革新、社内の活性化、フィロソフィーの策定
  • 人間関係改善、コミュニケーションの円滑化
  • 価値観の調和、情報の共有化など

エグゼクティブコーチは、経営者のみならず、役員や幹部社員のパフォーマンス向上や教育にも携わります。

エグゼクティブコーチは経営者の心の軍師

「経営者は社内では孤独であり、心を許した相談相手も少ない」という声をよく耳にします。
一人で悩み決断を迫られている経営者に、心の底から信頼できる心の軍師が傍らにいてくれたら、安心ではないでしょうか。
経営者の孤独は社内の人間では救えません。

エグゼクティブ・コーチングの最大の目的は、「すぐれた経営者」に成長して頂くことです。
すぐれた経営者とは、経営のプロフェッショナルであり、同時に豊かな人間性と社会性を兼ね備えた経営者です。
経営のプロフェッショナルとは、いかなる状況にあろうとも、同業他社よりも高い利益を上げ、企業を健全に成長させる能力を持った経営者です。
しかも私利私欲を求めるのではなく、従業員や社会全体の幸福に貢献することを真剣に考え、行動する経営者です。
多くの人が自然に集まって、その人のリーダーシップに従って、それぞれのベストを尽くすような人間的魅力に溢れた人です。

エグゼクティブコーチが、マネージャーや一般社員を対象とするコーチングと大きく違うのは、成果をROI(投下資本利益率)など経営数値で判断されるところです。
エグゼクティブ(経営者)は当然ながら企業の経営数値に対して全責任があります。

コーチングはすぐれた教育の手段です。人間の多様な可能性を信じ、成長のプロセスを重視します。
自分と部下の可能性を信じつつ、どのようにすれば、自分と周りの人がよりよい人生を過ごすことができるのかについて真剣に悩んでいるエグゼクティブ(経営者)の皆さんには、是非、エクゼクティブコーチを付けてみることをお勧めします。

えっ!これが「パワハラ」「セクハラ」?戸惑う上司 ~パワーハラスメント防止に役立つコーチング~(2019/06/22)

令和元年、5月29日、職場のパワーハラスメントの防止を企業に義務づける改正労働施策総合推進法などの関連法が成立しました。企業の危機管理の一環として、ハラスメント対策が必須となっています。

ハラスメントとは

「ハラスメント」とは、「苦しめること」「悩ませること」「嫌がらせ」を意味する英語です。
現在、法律で具体的に定義されているものとしては、「セクシャルハラスメント」、妊娠、出産、育児休業等に対する「マタニティハラスメント等」、そして「パワーハラスメント」の3種類があります。

ハラスメントの種類 定義・意味 ミニ解説
セクシャルハラスメント 職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、
①それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型セクシャルハラスメント)、
又は
②職場の環境が不快なものとなったため、労働者が就業する上で見過ごすことができない程度の支障が生じること(環境型ハラスメント)
■「職場」には、出張先や取引先、業務で使用される車内、業務の延長と考えられる宴会なども含む。
■男性から女性に対して行われるものだけでなく、女性から男性あるいは同性に対するセクシャルハラスメントを含む。
マタニティハラスメント等 妊娠や出産をした仕事を持つ女性が、職場で嫌がらせを受けたり、異動・降格・減給・自主退職の強要・雇止めなどの不当な扱いを受けたりすること。 ■制度利用等への嫌がらせ型
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が掲げる制度・措置を利用しようとすること等により、就業環境が害されること。
(具体例)
・上司に妊娠を報告し育児休業を請求したら、「ウチは育休を取れる状況ではない」と言われた。
・育児時間をとって早く帰ると、同僚から嫌味を言われる。

■状態への無理解、嫌がらせ型
女性労働者が妊娠、出産したことなどにより就業環境が害されること。
(具体例)
・悪阻がひどいのに、上司から「妊娠は病気ではないので甘えないで欲しい」と言われた。
・子どもが発熱して遅刻や早退を申し出るたびに、同僚から「本当に迷惑」と嫌味を言われる。
職場のパワーハラスメント 職場において
①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③就業環境を害すること
1.「優越的な関係を背景に」とは、次のような場合をいう。
・職務上の地位が上位の者
による行為
・同僚又は部下による行為
で、行為を行う者が業務上必要な知識や経験を有しており、その協力を得なければ業務の円滑な遂行が困難なもの
・同僚又は部下からの集団
による行為で、これに抵抗または拒絶することが困難なもの

2.「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」には次のようなものがある。
・業務上明らかに必要でない行為
・業務の目的を大きく逸脱した行為
・業務を遂行する手段として不適切な行為
・行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念上に照らして許容される範囲を超える行為

3.「就業環境を害する」
ことには次のようなものがある。
・暴力による傷害を負わせる行為
・著しい暴言を吐くなどにより、人格を否定する行為
・何度も大声で怒鳴る、激しい叱責を執拗に繰り返す等により恐怖を感じさせる行為
・長期にわたる無視や能力に合わない仕事の付与等により、就業意欲を低下させる行為

(厚生労働省資料等をもとに加工)

どのような行為がパワーハラスメントにあたるかについては、2012年、職場のいじめ・嫌がらせの防止・解雇に向けた対策を労使や有識者、政府関係者によって検討した「円卓会議ワーキンググループ」の報告で下記6つの行為類型が提示されています。

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる ことや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

ハラスメント対策

セクシャルハラスメントやマタニティハラスメント、パワーハラスメントについては、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の規定に基づき、企業はハラスメントの予防や起こった場合の適切な対応などの措置を取る法的義務があります。違反した場合は、都道府県労働局長の指導や勧告を受けたり、企業名公表の対象になったりすることがあります。

ハラスメントのリスク

ハラスメントは、①ハラスメントによる職場環境の悪化によって、企業活動そのものが阻害されてしまう「企業運営リスク」、②ハラスメントの予防措置を十分に取らなかったとして損害賠償責任を問われる可能性がある「経済的リスク」、③企業に対する否定的な評価が広まる可能性がある「企業ブランド低下リスク」、④採用が難しくなり、人材流出も起こる可能性がある「人材確保リスク」といった様々なリスクとなることが考えられます。

企業としてまず次のようなことに取り組むべきことが必要です

①ハラスメントが許されない旨の事業主の方針の明確化と周知啓発、
②相談体制の整備、
③行為者の処分を含む事後の迅速かつ適切な対応、
④相談者などのプライバシーの保護など

何よりもハラスメントに対する社員の意識改革が必要です。「どのような行為がハラスメントとされるのか、なぜハラスメントとみなされるのか」の考え方をきちんと理解することが大切です。

会社など組織で働く以上、誰もがハラスメントを受け、自分が行う可能性を持っています。個人の価値観が多様化している現代社会では、相手の価値観の否定や自分の価値観の強要はパワーハラスメントとされる可能性があります。

特に注意が必要なのは、次のようなケースです。

  • 仕事以外のことを持ち出し、人格の否定につながるような言動をする
  • 関係性を良くしようと業務と関係のない容貌にふれたりして、余計な一言を発してしまう
  • 「背中を見て覚えろ」といったような明確な指示がなく仕事を強制する

大事なことは、社員同士の信頼関係が確立しているか、お互いを大切に思い、相手の立場を尊重するという人権尊重の意識がしっかり根づいているかです。

求められる「コーチングマインド」を持った人材

ハラスメント問題は予防が何より大切です。ひとたび問題が起こってしまうと、被害者も加害者も、そして企業も大きなダメージを負います。一人一人が相手の価値観を尊重し、気持ちよく働くことができ、能力を発揮できる環境をつくるには、日常からの取り組みが欠かせません。そのためにも、一人一人がコーチングマインドを持った社員に育てることが重要です。従来型の指示命令で部下を管理するという「管理型マネジメント」から一人一人の価値観を尊重し能力を活かす「コーチング型マネジメント」が益々求められています。

米国は人種のサラダボウル???(2019/06/14)

今回も友人Hさんとの会話からです。
「米国は人種のるつぼであるという表現は正しくない、人種のサラダボウルである、とある本に書かれていました。つまり融合しているわけではなく、それぞれの個性が個性を発揮しながら国を形成している、というわけですね」

「このたびの貿易戦争についても、このことを感じます。国としての意志が一つにまとまって貿易戦争を仕掛けているわけではなく、トランプ大統領という類まれな人物が大統領になったことで、さまざまな化学変化が起きている。

トゥキディデスの罠…従来の覇権国家、つまり米国に対して、新興の国家である中国がここまで大きくなってくると、戦争が不可避の状態にまでぶつかり合うようになる、という説が登場するまでに至っています」

「トランプ大統領というのは、ある意味オールマイティかもしれないなぁ、と思うのですね。

歴代大統領のなかで弾劾を受けたニクソン大統領が、マイナスイメージとしてのシンボルですが、ホワイトハウスの中でのニクソン大統領の肉声が公開され、それがとても下品であり、大統領ともあろう人物が…という“がっかり感”が弾劾を招いた要因の一つ、とも言われています。

一方トランプ大統領は、“下品な言葉”はトランプ大統領のキャラクターそのもので、最初から“立派さ”は期待されておらず、エリートが支配しているこの国に風穴を開けてほしい、という層からの強いラブコールがトランプ大統領を支えています」 

「日本のメディアはオバマ大統領のスタイルを是として報道してきていましたから、トランプ大統領のあり方には否定的です。

『なんでこんな人物が大統領でいられるのか!』と理解に苦しみます。でも米国での4月の支持率をみると46%ですから、米国民の半数がトランプ大統領に期待しているわけです」

ある現象を評価し、解釈する場合、与えられる情報がカギを握っていると思います。情報を提供する側が自分はフラットである、と思っていてもそこには意志の介在があります。

私が中国上海に駐在したときのマンションのちょうど向かいが上海総領事の公邸でした。駐在時に小泉総理が靖国神社に参拝したことで、それを批判するデモが起こっています。

上海市西部の虹橋にある総領事館は投石やペンキを入れたペットボトルなどが大量に投げ込まれ、武装警察が総領事館をぐるりと囲んで物々しい状況でした。

総領事公邸は総領事館の場所からかなり離れているのですが、入口の脇にある広報用のガラスケースが何者かに割られたのですね。

こちらの方は目立ったものではありませんでした。ところが日本から『Hさん大丈夫ですか? 上海は危険だから日本に戻るよう指示がでるかもしれません』という電話がかかってきたのです。

“総領事公邸のガラスが割られる”というニュースを日本では、テレビ・新聞が大きく取りあげており、このことで『中国は危険だ、上海は危険だ』という世論が1億2千万人の中に一気に形成された、というわけです。現地にいる私は違和感を覚えました」

Hさんの語りはこの後も続きました。
話を聴きながら、Hさんが言葉にする事柄には一つの傾向、スタンスが存在していると、私は感じています。

第一回目の冒頭で、「『中国は…中国人は…』とか『日本は…日本人は…』という表現を極力避けるようにしています」とHさんは言いました。このことについて事例を踏まえ、また表現を替えて、私に伝えているのです。

“分類して理解する”ということを私たちは求めます。さまざまな現象はそのままではわかりにくい、類似なモノをグルーピングし、それにラベルを貼っていく。考えてみれば学問のアプローチそのものかもしれません。

Hさんは、そういうわかりやすさを求める志向に対し、ちょっと距離を置き、時に懐疑の目で捉えることも大切なのではないか、と言っています。

30年来の友人とのこのたびの邂逅は、私に一つの刺激を与えてくれました。また機会があれば酒をくみ交わしましょう、とほろ酔いの気分で四谷を後にしたひと時でした。

米中貿易戦争にみる「妥協」と「調和」(2019/06/10)

今、米中の貿易戦争が問題になっています。
今回も友人Hさんとの対話からです。

「戦争とは相手を我々の意志に従わせるための暴力行為である。クラウゼビィッツが戦争論で定義づけていますが、シンプルな表現なのでしっかり覚えました。暴力までいってしまうとさすがに…なので代替手段としての関税合戦ですね。妥協の拒否です」

「国と国、という壮大なレベルではなく、人と人の関係をこの定義を使って考えたとき、自分と相手がいて、自分の意志と相手の意志が異なっている。自分の意志を押し通したい。でも相手は受け入れず拒絶する。双方の意志を何とか近づけ妥協点が見いだせればコトは解決するのだけど、双方が意志を曲げない」

「人間関係がスムーズにいかない、という状況の説明にぴったりだと思います」

Hさんは戦争論から人間関係の軋轢を解説します。その中で「妥協」という言葉が登場していますが、「妥協」について考えてみましょう。

「相手の意志の本質は何なのか?」
相手の立場になって想像力を働かせてみましょう。

そこまで真剣に私に訴える、ということは、それを訴えなければならない理由があるはずだ。でもその理由を言うことは、自分のプライドが許さない、自分の弱みを見せることになる…など、水面下に何かがあるのかもしれません。

絶対言ってほしくない言葉、触れてほしくないコト、つまり「琴線」、誰にでもありますね。
その「琴線」を守るために必死になったりします。

このような思考のプロセスを経てみると相手に対する感覚が違ってきます。
つまり少し余裕が生まれ、相手に対して優しく接することができそうです…

さてHさんです。中国の「琴線」…国家体制の「根幹」について語りが始まりました。

「1949年に毛沢東が天安門の壇上に立ち中華人民共和国の建国を宣言しました。100年という期間、どのような人物、組織も成し遂げることができなかった奇跡を実現したのは共産党であり、共産党そのものが国家である、という勝利宣言です」

「改革開放政策を正当化するために社会主義市場経済という言葉を生み出し、あくまでも共産党が指導する、という国家体制です。つまり“根幹”ですね」

「米国はこの“根幹”に迫っています。中国の国有企業の役割・中核的産業政策を見直せ!という要求なので、さすがに習近平は妥協のしようがない、折り合えない、ということだと思います・・・」

この後、Hさんは米国の立場を語り始めますが、それは次回としましょう。

米中貿易摩擦のような国家間の問題については、そんなに簡単ではないでしょうが・・・、 会社と個人の価値観など「価値観の調和」を考えることはとても重要です。

私たちは、時として多くのものに妥協しながら生活しています。その多くは不必要なものであり、私たちを立ち止まらせ、苦しみを与え、時間とエネルギーを消耗させます。

「妥協」することで成長の妨げになっていないだろうか?
「妥協」することで、自分の中に心理的なゲームをつくり出していないだろうか?

「妥協」ではなく、お互いの価値観を尊重し、「調和」を生み出す

ことが大切です。

「自分は思い込んでいない」という思い込み???(2019/06/02)

前回に続き、友人H氏との会話からです。

「私はケータイを格安スマホの楽天モバイルに変えました、1年くらい前かな…その際、端末は迷うことなくHUAWEIを選んでいます」

茶目っ気の表情で“フアウェイジィーシュウ(華為技術)”と中国語を披歴したHさんは、手元のスマホをひっくり返し、2つある小さなカメラのレンズを指さします。

「HUAWEIのスマホのウリはデュアルカメラですね。撮影後フォーカスする位置を変えることができます。渋谷のスクランブル交差点をビル高層階から撮影し遠景を操作することで人と車がまるでジオラマに見えてしまう写真を以前見たことがありますが、そんな画像もつくることができます」

「私が中国で仕事をしていたのは10年以上前で、当時HUAWEIはまだそれほどメジャーではなく、中国人スタッフのほとんどはSUMSUNGのシャープなデザインの機種を使っていました。それがこの10年で米中貿易戦争のど真ん中に位置するある意味世界一有名な巨大企業に成長したわけですから感慨無量です…」

「想像力って自由に未来を描けるはずだけど、これまでのイメージ、つまり過去に縛られてしまっている、という自分の頭の固さを思い知らされました」

私はHさんのこの言葉こそ、コーチングの意義を説明してくれていると感じました。

コーチングを求め、そしてコーチングに触れ、自分が思い込みにとらわれていたと気づき、そこから自由になったことで、ギクシャクしていた人間関係が円滑に進むようになることもあります。

逆説的に言えば、

“自分は思い込んでいないと思い込んでいる人”こそ、成長の機会を阻害されているということです。

例えば、
「部下を指導するにあたって“率先垂範”が何よりも重要だ!」と考えているAさんが ここにいるとします。

Aさんは、部下をぐいぐい引っ張り、お客様に対するプレゼンも自分ですべてやってしまいます。ところが…チームの成績は上がりません。部下の動きからも覇気が感じられません。
Aさんは悩みます。

そんなAさんからコーチングしてほしいと依頼があったとします。

コーチ:「Aさんにとっての率先垂範とはどういうことだと思いますか?」

Aさん:「先頭に立って模範を見せることですよね?彼に任せても失敗するだけだから、私のやり方を真似てほしいと思って、いつもやってあげているんです。」

コーチ:「彼に任せても失敗するだけと言いましたが、何回やらせてみました?」

Aさん:「そういえば、まだ1回もやらせていないですね。」

コーチ:「Aさんは優れたプレゼンターだと思いますが、初めの頃はどうでしたか?」

Aさん:「私も最初の頃は今のようにうまくできていたわけではありません。試行錯誤を繰り返しながらでしたね。
部下にも私のやり方を見て真似してほしいと思いましたが、私も先輩の良さを取り入れつつ、やりながら今の自分の型を作ってきたのを、すっかり忘れていました。・・・」

どうすることが部下の一番の成長につながるのか、部下の立場に立って考えることが必要です。

率先垂範は大事ですが、何でもかんでも自分がやってしまっては、部下の成長につながりません。背中を見せて、ただ「俺に付いて来い」という時代ではなくなっています。

信じて任せることが必要です。

コーチングの基本は相手を信じることからです。

率先垂範こそリーダーの役割だと思い込んでしまっていたAさんの例です。

「中国人は…」~ダイバーシティとコーチング~(2019/05/27)

Hさんはスマホをおもむろに取り出し、
「このロゴを見てくれますか?HUAWEIってあるでしょう、ファーウェイじゃなく正しい発音はフアウェイなんですよ」
と、笑みを浮かべ私に語りかけます。

令和という新しい時代となりましたので、本コラムも少し趣を変えて、30年来の友人であるHさんとの楽しいやりとりを数回シリーズで紹介しようと思います。

Hさんは私と同じく中小企業診断士です。
中西先生の門下生として共同執筆をしたのが縁で、以来付き合いは30年に及びます。

最近は数年に1度の邂逅ですが、先日
「五十嵐さん、本当にお久しぶりです。四谷にオフィスを構えられたにもかかわらずご挨拶ができていないので、お伺いしたいのですが…」
と嬉しい電話がかかってきました。

冒頭の会話は、居酒屋系焼鳥屋の大手チェーン店に場所を移し、座るや否やHさんの口から飛び出した一節です。

大手企業の中国現地法人総経理を経験したHさんの中国談義は時に脱線もし、私を戸惑わせますが、コーチングの視点がちりばめられており参考になります。

シリーズの初回は、われわれ日本人が“思い込みがちな中国という国のイメージ”を、よい意味で外してくれるHさんの語りにお付き合いください。

「私は『中国は…中国人は…』とか『日本は…日本人は…』という表現を極力避けるようにしています」

駐在を開始し、上海の日本商工クラブで行われる会合に参加してHさんは気づきます。
日本人だけの集まりであるその場で多くの企業人が『中国は…中国人は』と頻繁に口にすることを…。

尊敬を込めた語り、あるいは日本の優位性を強調する局面…内容はさまざまですが、不思議と“中国人の個人”“日本人の個人”が登場しない、とHさんは言います。

「それぞれの国は固有の歴史を抱え、当然それぞれの文化を持っているけれど、そのフレームで中国人個々人を括ってしまうことに抵抗を覚えたんですよね」

「中国現地法人のスタッフは、私以外すべて中国人でしたが、それぞれが実に個性的でした。
副総経理はTさんという大連出身の女性です。
カナダ国籍を取得し国家公務員としてカナダで仕事をしていた北京出身の彼とネットで知り合い、スカイプだけで交流を続け結婚しています(結婚前に直接会ったのは、カナダと北京の各1回のみと言っていました)。
その彼が日本人である私のことを“日本人は…”とネガティブに語るので、
『そういう言い方はやめたほうがよい。日本人にもさまざまな人がいるしH総経理は、あなたがイメージしている日本人とは違うよ。あなたこそ上海人から“北京人は何かといえば政治的議論を吹っかけるよね”と一般論を言われることに抵抗を持つじゃない』
、と言ってやりました、
と笑いながら私に話してくれます」

私はその話を聴きながら、ダイバーシティに想いを馳せていました。
コーチングとはすなわち一人ひとりの多様性を重視し、そこを立脚点として関係性を築いていくことです。

Hさんの話はたくさんの示唆を与えてくれます。
次回もHさんの話をとり上げていきます。楽しみにしてください。

日本青年会議所 第49回埼玉ブロック大会吉川松伏大会にて講演(2019/05/13)

日本青年会議所 第49回埼玉ブロック大会吉川松伏大会にて、【幹部のための組織力向上セミナー】をテーマとした講演をさせていただきます。

日時:2019年6月1日土曜日
開催場所:会場:田園ホール・エローラ(松伏町中央公民館) 3階 和室(和室1・和室2)
http://www.town.matsubushi.lg.jp/www/contents/1376522567123/index.html
住所:埼玉県北葛飾郡松伏町ゆめみ野東3-14-6
電話:048-992-1321
対象:各地会員会議所会員 60名(理事長・副理事長候補者)

「令和」とコーチング(2019/05/05)

2019年5月1日、令和元年がスタートしました。

「Beautiful Harmony=美しい調和」

外務省は、新元号『令和』について外国政府に英語で説明する際、「Beautiful Harmony=美しい調和」と表現しているようです。

『令和』には、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められていると言います。世界中の人々に、そんな思いが届くことを願います。

「人々が美しく心を寄せ合う」には、まず一人一人が幸せを感じ、生き甲斐を持って生きることが必要です。その意味でも『令和』は、まさにコーチングの時代です。

『令和』はコーチングの時代

生き甲斐を持っている人は、自分の弱さも強さも受け容れつつ、自分らしく生きています。
言い換えれば、生き甲斐はその人の中の調和の表現ということができます。人々が美しく心を寄せ合う、そんな社会の基盤をつくるうえで、コーチングの考え方やスキルが大切です。

コーチングでは、まず何よりもクライアント(相手)が何を望んでいるかということに焦点を当てます。
コーチングを受けようとする人の理由は様々ですが、根底の部分で共通しているのは、皆、変化を望んでいるということです。何かを変えたい、と思っています。

「起業したい」「資格を取りたい」といった具体的な目標を既に持っている人もいれば、「もっと自分らしい仕事がしたい」「幸せになりたい」といった抽象的な願いを持っている人もいます。

コーチングは特別の人のものではない

コーチングは何か特別な人のためのものではなく、すべての人のものです。人は誰もが人生の主人公です。コーチングの考え方やスキルは、人が自信を持って、楽しみながら、自分の力で人生を切り拓いていくうえで必要なものだからです。

コーチングは、ビジネスの分野だけでなく、家庭、子育て、健康、学校、地域生活などあらゆる場面で適応できるものであり、その人の人生全体を扱います。

生き甲斐のある人生、充実感にあふれた人生とは、その人が本当に大事だと思っていること、価値を置いていることで満たされた人生です。したがってコーチングでは、クライアント(相手)が大切にしているもの、価値観を扱います。

クライアント(相手)が何に価値を置いているかを明確にすることは、その人が人生において何を選択すべきかを明確にすることでもあります。自らの価値観に沿った選択を行うほど、その人の人生は自然に充実感に満ちたものになっていくでしょう。

コーチングをすべての人が、当たり前に、日常で学び、身につけ、ありとあらゆる場面で使われるようになれば、それが文化になります。

世界に広くコーチングの本質と価値が広まれば、人々が美しく心を寄せ合う『令和』(Beautiful Harmony)社会実現も夢ではありません。

「日本経営道協会」様からインタビュー取材がありました。(2019/04/23)

「日本経営道協会」様は、日本人らしい日本思想を大切にした「経営に心と道」=「経営道(けいえいどう)」を企業家の皆さんに習得して頂きたいと長年活動をしている団体です。

エグゼクティブ・コーチの視点(2019/04/10)

エグゼクティブ(経営者)は見ている世界が違う

経営者や経営幹部層をコーチングするエグゼクティブ・コーチングと一般の人を対象にしたコーチングとは何が違うのでしょうか?

エグゼクティブ(経営者)は、一般の社員とは見ている視点が異なります。

30階建てのビルを想定みましょう。
1階から見る景色と30階から見る景色では、当然違ってきます。

何が見えるかは、何を通して見ているかによって変わります。
汚れた窓を通して何かを見ようとしても、目に映るものは“汚れ”であり、向こう側にある物は見えません。

コーチは常に、エグゼクティブ(経営者)の抱える問題に対して、エグゼクティブ(経営者)と異なった観点を持つことになります。
コーチは問題の当事者ではありませんので、エグゼクティブ(経営者)とは異なった観点を与えることができるのです。

コーチは別の観点を与えることで、エグゼクティブ(経営者)の体験を別の角度から見る機会を与えます。
そして、エグゼクティブ(経営者)がこれまで気づかなかった別の可能性や選択肢に気づくようにします。

エグゼクティブ(経営者)は、自分のことよりも、常に社員のこと、会社のこと、取引先のこと、社会のことを考えて行動しています。

そのため、エグゼクティブ・コーチは、特に、その対象者となるエグゼクティブ(経営者)自身のリーダーとしてのあり方や、組織や周囲への影響力ということを意識する必要があります。

例えば、ある経営幹部の部下が、様々な問題を引き起こす「問題児」だったとします。

この場合、一般的には、その部下にどのようになってほしいか、エグゼクティブ(経営者)がどんなことを望んでいるのかを明らかにし、

そのためには部下にどのように対応すればよいかを一緒に見つけ出し、その行動を実際に部下に取ってもらい、部下の問題行動を減らしていく、ということをしていきます。

エグゼクティブ(経営者)としてのリーダーシップ力

エグゼクティブ・コーチングは、エクゼクティブ自身のリーダーシップを高めていただくという目的があります。
そこで、コーチングするときは、次のような質問をしてみます。

問題の部下をAとします。

「部下Aを前にすると、どのようなことを考える傾向にありますか?」
「部下Aに対しては、どのようなレッテルを貼りがちですか?」
「部下Aは、自分にとってどのような存在だと捉える傾向にありますか?」
「部下Aの存在は、自分の未来にどのような貢献をしてくれると思いますか?」
「人に対する問題を解決する時に、どんなパターンをとる傾向がありますか?」

つまり、部下の問題行動を入口にして、自分がどのように反応する傾向があるのかを考え、こういう時にどのように乗り越えていくかをつくり上げていきます。

これによって、次に同じような問題が起こったとしても、慌てることなく対処できる力をつけていきます。

そして、今の目の前の問題を解決するだけでなく、将来の課題をも解決できるような力をつけてもらうことを考えます。

一般のコーチングと何が違うのか言えば、対象者と扱うテーマ、そして焦点の当て方が少し違います。

エグゼクティブ(経営者)としてのリーダーシップ能力をいかに高めるかが重要な目的の一つになっています。

エグゼクティブ(経営者)の成長と共に、エグゼクティブ・コーチ自身の見る世界も変えていく必要があります。

経営環境が大きく変化し続ける今は、「ありたい姿」そのものが問われる時代です。

現状をベースにして、その延長線上に「あるべき未来」を描くよりも、先に「ありたい未来」を思い描き、そこから「あるべき現実」を探っていくことの方が有効な場合があります。
そのためにこそ、エグゼクティブ・コーチが必要ではないかと考えています。

コーチビジネス研究所のサービスラインナップ

専門性を活かしたエグゼクティブコーチになりませんか?
輝く女性のためのエグゼクティブ・コーチ
コーチングの学び方ワークショップ
コーチビジネス研究所のパートナーコーチ CBL登録コーチ一覧
  • 覚悟の瞬間 株式会社コーチビジネス研究所 五十嵐久
  • 1日3分で学ぶコーチング入門講座
  • コーチング・ビジネスのすすめ: 女性に最適! ゼロから始める夢資格