エグゼクティブ・コーチングと中小企業の廃業問題 ~未来につながる廃業を考える~(2019/10/09)

先日、NHKスペシャルで「大廃業時代」と題したショッキングな番組が報道されました。

『廃業』と『倒産』は違う

『廃業』とは、後継者難や経営難など、理由を問わず自主的に事業を止めることを言います。

会社を廃業するには、事業を停止しなければなりませんが、会社の事業を停止しただけでは廃業したことにはならず、「休眠」や「休業」と呼ばれる状態です。

会社の事業を廃業とし、会社を閉鎖するには、会社を「解散」し、「清算」する必要があります。会社の解散や清算は、法律に定められた手続きによって行います。
会社の清算手続きが完了することを「清算結了」といいます。清算結了してはじめて、会社の法人格は消滅し、会社がなくなります。会社が清算結了し、法務局で清算結了登記を行うことによって、会社の登記簿(登記記録)も閉鎖されます。

一方、『倒産』とは、会社が支払不能の状態に陥り、会社の目的である経済活動ができなくなってしまうことを意味します。いわゆる経営破たんした状態が倒産ということになります。『廃業』とは、経営破たんしたかどうかに関係なく、事業を止めて会社を畳むことです。

会社を廃業するときには、株主総会の決議や官報への公告、法務局での登記、税務申告などの手続きが必要になります。会社法で官報に公告するには、2か月以上の期間をとることが求められています。したがって、廃業の手続きをして会社を閉鎖するまで、最短でも2か月はかかってしまうことになります。

今後1年間に31万社が廃業?

帝国データバンクの調査によると、全国140万社の廃業リスクを分析したところ、今後1年間に31万社が廃業するリスクがあるとしています。これが本当だとすると、およそ5社に1社が廃業してしまうことになります。

中小企業庁が発表した2019年版「中小企業白書」では、厚生労働省「雇用保険事業年報」を用いて開業・廃業の状況をまとめています。

2017年の日本の開業率は5.6%です。国際的にみると、開業率ではフランスで13.2%、イギリスで13.1%、ドイツでも6.7%となり、日本の開業率は低い水準であることがわかります。一方、日本における廃業率は3.5%。諸外国ではイギリスで12.2%、フランスで10.3%、ドイツで7.5%となっており、廃業率においても低い水準であることがわかります。

しかしながら、(株)東京商工リサーチの「休廃業・解散企業動向調査」を見てみると、2013年は休廃業・解散で34,800件から2018年には46,724件と増加しています。白書では「経営者の高齢化や後継者不足を背景に休廃業・解散企業は年々増加傾向にある」としています。一方、倒産件数では10,855件(2013年)から8,235件(2018年)と減少しています。国際的に比較して開業率も廃業率も低い水準となっていますが、今後も休廃業の増加が予測されます。

年間の休廃業・解散件数について、倒産件数と比較して確認すると、倒産件数は2008年をピークに減少傾向にあり、3年連続で1万件を下回っています。他方で、休廃業・解散件数は増加傾向にあり、2016年の休廃業・解散件数は過去最高となり、2000年と比較して2倍近い件数となりました。

東京商工リサーチ調べ

『廃業』の増加は、人口減少による地域経済の縮小による経営難や後継者難が背景にあると考えられます。中小企業の廃業は、雇用の場がなくなり、納税者もいなくなるということです。取引先の廃業による連鎖倒産にもつながり、金融機関にとっても貸し倒れリスクが増大し、地域経済、日本経済に深刻な影響を与えかねません。

NHKの同番組で、日本銀行の試算によると、地方銀行や信用金庫の半数以上が10年以内に赤字に転落し、このままでは、2025年に、GDP22兆円、雇用660万人が消失するとしています。

大廃業時代を生き抜くには?

番組では、「会社のおくりびと」と称するコンサルタントが円満な会社の終え方を指導していましたが、『廃業』は単に一中小企業の問題ではありません。雇用や地域経済への影響などを考えると、社会的・国家的な視点からも考えていく必要があります。
『廃業』した後の取引先や雇用問題、地域経済への影響を考慮しなければなりません。『廃業』後をどうするかを含めた支援が大切です。その点からも、これからは「M&A(企業の合併・買収」がとても重要な選択肢になってくるでしょう。

私も以前、公的な中小企業支援機関である東京信用保証協会で、中小企業の資金調達や再生支援に取り組んでいたことがあります。リーマンショックの時の『金融円滑化法(モラトリアム法)』で生き残った企業はあったものの、当時からこの負債はいつか大きな問題になると危惧していました。倒産・廃業に苦しむ多くの中小企業も目にしてきました。

廃業したくても廃業できない

最悪の事態に陥る前に余力のある段階で、会社を整理することは、その後の生活や再生を考えるととても大事なことです。しかしながら、多くの中小企業は、会社の事業そのものが生活基盤となっています。廃業には大きな決断が必要であり、生活していくことを考えると、いわゆる「廃業したくても廃業できない」といった状況にあるのも現実です。

企業の撤退・縮小は、経営者にとっても苦渋の選択であり、最も重い経営判断の一つです。長年続けてきた会社を閉じなければならないのは、経営者にとってこれ以上悲しいことはありません。生き甲斐を失い、命まで絶ってしまう経営者もいます。
一方、撤退の時期を誤ると致命傷となってしまい、大きな負債を抱えたまま倒産ということになりかねません。次の新たな再出発への道も難しくなってしまいます。経営者には決断と覚悟が求められます。

尚、『撤退・縮小』戦略を考えるうえで、マッキンゼー社の次の9象限事業マトリックスを使った戦略策定法が参考になります。

『企業参謀』(大前研一著)より抜粋加工

エグゼクティブコーチの役割

『廃業』は必ずしもマイナスばかりではありません。次の新しい未来に向かっての再出発でもあります。時代は大きく変化しており、新しい時代に対応した形への事業転換や質的転換が必要です。

エグゼクティブコーチは、『経営者・会社の成長』はもちろん、苦境にある中小企業の『撤退』(廃業)戦略、後継者問題、雇用問題、取引先や地域経済への影響など多角的な視点に立って、経営者をサポートできる存在です。経営者や従業員の新たな人生の再出発を支援する立場でもあります。

経営者と一緒になって経営者の真の想いを汲み取り、経営者に寄りそい「どうありたいか」「何がベストか」をサポートするエグゼクティブコーチの存在が益々重要になっています。

エグゼクティブ・コーチングのすべて(2019/09/23)

エグゼクティブ・コーチングとは、経営者や経営幹部などエグゼクティブに対してコーチングすることであり、これらのエグゼクティブに対してコーチングするコーチをエグゼクティブコーチと言います。

エグゼクティブ・コーチングが目指す姿は次の3点です。

エグゼクティブ・コーチングで目指す姿(目的)

1.最も人を幸せにする企業が、最も幸せになる「幸せ創造企業」をつくる

経営とは、「企業の社会的価値を向上させること」にあります。企業の活動を通して、社会に有益な商品やサービスを提供し、世の中に幸福をもたらすことです。言い換えれば、企業は、「人や社会を幸せにするために存在する」と言っていいでしょう。

「幸せ創造企業」が増えることにより、幸せの輪が広がり、より多くの人々が幸せになっていく,そんな社会を目指しています。

2.社員の力で最高のチームをつくる(エンパワーメント)

エンパワーメントとは、自律した社員が自ら考え自らの力で仕事を進めていける環境をつくろうとする取り組みです。社員の中で眠っている能力を引き出し、最大限に活用することを目指します。社員一人一人が仕事にも生活にも強い目的意識をもって取り組み、会社の仕組みや業務の進め方を改善し続ける原動力となります。会社の目指す方向性と自らの目標を高いレベルで融合させ、責任をもって行動するようになります。

3.エグゼクティブ自身の成長

エグゼクティブの皆さんに、より「すぐれた経営者」として成長して頂くことです。「すぐれた経営者」とは、第一級の経営プロフェッショナルとして、豊かな人間性と社会性を兼ね備えた経営者です。具体的には、次の3点を備えた経営者を目指します。

  • いかなる状況にあろうとも、適切な利益を確保し、企業を健全に維持・成長させる能力を持った経営者
  • 私利私欲を求めるのではなく、社員や社会全体の幸福に貢献することを真剣に考え、行動する経営者
  • 多くの人が自然に集まって、その人のリーダーシップに従って、それぞれがベストを尽くすような人間的魅力にあふれた経営者

エグゼクティブ・コーチングを始める前の確認事項(例)

  • 会社全体並びに部門別の業績推移とその予算対比など自社を取り巻く経営状況について、どのように認識しているか
  • 会社のビジョン、理念、ミッションは何か
  • 業界や競合他社の状況について、どのように認識しているか
  • 自社の強みや弱み、機会、脅威などについて、どのように認識しているか
  • 会社が抱える様々な課題とその対応策について、どのように考えているか
  • 役員および幹部社員をどのようにみているか
  • 役員、幹部、社員の人事評価システムとその運用はどうしているか
  • 社員のモチベーション、エンゲージメントはどうか
  • 社員の教育はどのように考えているか
  • 新製品開発、新規事業への取り組みや業務改善への取り組みはどうか

など

エグゼクティブ・コーチングの進め方

幹部社員に対して、エグゼクティブ・コーチングを進める場合(例)

  • 経営トップの方から会社の方向性、目指す人物像、幹部社員への期待などについてヒアリングさせて頂きます
  • コーチングの対象者となる幹部社員の皆さんに、現状の課題、コーチングで取り扱いたいテーマ、思考・行動特性などを記載して頂く「アセスメントシート」に記入して頂きます。
  • 対象者となる幹部社員と個別に面談し、コーチングの合意形成、コーチングで扱うテーマや達成したい目標などについてオリエンテーションをさせて頂きます。
  • 最終ゴール並びに経過目標の達成に向けて、セッション(会話)を進めていきます。
    セッションは通常6ヵ月~1年間にわたり継続して実施していきます。
    (期間、回数、時間等については、扱うテーマや各対象者の実情に応じて決めます)

エグゼクティブ・コーチングで取り扱うテーマ

エグゼクティブ・コーチングでは、会社経営に関することはもとより、経営者の個人的問題から社員、あるいは会社を取り巻く周囲の利害関係者に関することまで幅広いテーマを扱います。

多くの経営者は次のようなことで悩んでいます。これらの悩みに応えることができるのが、コーチングです。

経営者の悩み(例)

1.目の前の処理に追われ、重要課題への対応が遅れている

「やらなければいけないと思っているが、手がつけられていない」といった状況に陥ってしまっている。目の前の問題処理にばかり追われていると、将来の重要な課題への対応が遅れてしまい、タイミングを逃したり、危機的状況に陥ってしまいかねません。

2.仕事とプライベートのバランスが崩れ、健康状態に課題がある

経営者として自らの健康管理ができているかはとても重要です。仕事とプライベートとのバランスがとれているか、休暇は取れているか、家族関係はどうかなど、経営者の健康状態やプライベート面も重要なテーマになります。

3.相談できる相手がいない

日々様々な課題に追われているが、家族にも社員にも相談できず、自分の中に抱え込んでストレスになってしまっている。気楽に相談できる参謀的な役割の人がほしい。

4.理念やビジョンが形骸化して、社員に十分に浸透していない気がする

会社の理念やビジョンは掲げているものの形だけになってしまっていて、魂が入っていない、具体的な行動につながっていない。

5.せっかく社員を採用したのに、すぐに辞めてしまう。社員の定着率が悪い。

社員の離職率が高いというのは、「会社のビジョンがない」「この会社にいても成長する感じがしない」「上司が嫌だ」「社内の人間関係に我慢できない」「仕事がつまらない」
など様々な要因がありますが、人間関係に起因することが多い。

6.会社の方向性が見えない

変化の激しい今日、未来を見通すことが難しくなっています。現状維持では頭打ちになってしまう、なんとかしなければと思ってはいるがアイデアが浮かばない、ビジョンを再構築したい

7.自分で考えて行動する積極的・能動的な社員が少ない

「言われたことしかやらない」「自ら行動しようとしない」「自分で考えようとしない」
「一人一人オーナー意識を持って、自分で考え行動できる社員であってほしい」

8.任せられるリーダー、マネージャーが少ない

自分を補佐してくれるような経営感覚を持った右腕となるリーダーがいない。後継者となる人材がいない。部下を育てられるリーダー、マネージャーが不足している。

9.会社と社員が一体となった全社員経営を目指したい

社員一人一人がオーナー意識を持って働く全社員経営を目指したい。
会社の価値観と社員の価値観の調和を図り、ベクトル合わせをすることが必要です。

10. 急遽会社を引き継ぐことになり悩んでいる

先代の死や病気により、急遽会社を任せられることになったが、社員との関係性や会社経営のあり方について悩んでいる。

エグゼクティブ・コーチングの実際

エグゼクティブ・コーチングは、エグゼクティブに対してコーチングすることではありますが、会議運営のサポートから社員の教育まで、経営者の右腕となって会社全体の運営に関わることも多いのが現状です。

1.エグゼクティブとの個別コーチング

エグゼクティブと一対一で対面またはオンラインでコーチングを行います。
時間、回数、期間はテーマや状況によって異なります。1回90分、月1~2回、6ヵ月~1年契約の場合が多いですが、継続するケースが多く、10年以上という長期にわたる場合もあります。

2.エグゼクティブとのグループコーチング

経営幹部の皆さん4~6名を対象に、それぞれが抱えている課題についてグループでコーチングを行います。グループコーチングのメリットは他者の考え方・価値観に触れることができ、問題・課題の共有化につながります。

3.社員との個別orグループコーチング

経営者の考えや会社の目指す方向性と社員一人一人の考え、目指す方向、価値観との融合・調和を図ることを狙いとして、社員一人一人と面談し、経営者との橋渡しの役割を果たします。また社員間の人間関係改善や調和を目的にコーチングすることもあります。

4.会議運営サポート

せっかく会議の場がありながら、単なる報告会や指示命令の場に終わってしまっているケースが見られます。コーチングやファシリテーションの手法を使いながら効果的、効率的な会議運営をサポートします。

5.リーダー・マネージャーに対するコーチングマネジメント研修

後継者や次代を担うリーダー、マネージャーを対象に、リーダーとしてのあり方やコーチング型マネジメントについて研修します。

6.社内コーチの育成

社内へのコーチングの浸透を目指し、推進役となる社内コーチを育成します。

エグゼクティブ・コーチングの効果

コーチングへの誤解もあって、「自分にコーチなどいらない」と思っている方も多いですが、どんなに学んでも自分のことは意外と分からないのではないでしょうか?

日々、コーチとのやり取りの中で自分を磨いていく。これが飛躍的に、かつドラスチックに変えていく力になると信じています。

エグゼクティブコーチをつけることによって、自分の本心と向き合うことができ、精神的な安定感が生まれます。エグゼクティブコーチには守秘義務があり、社員や家族に話せないことも、安心して話すことができます。

激変する経営環境の中にあって、内向きに考えているだけでは生き残っていくことが難しい時代です。限られた期限の中で、様々な課題に即決していくには、ものごとを客観的かつ冷静に分析する能力が問われます。エグゼクティブコーチとの対話によって、その力はさらに増大します。

エグゼクティブコーチとの対話によって、一人では発見できなかった盲点に気づくことができます。エグゼクティブコーチとの対話によって、取り組むべき問題点や目標がより明確になり、目的により早く到達できるようになります。

エグゼクティブコーチは、経営者と社員の橋渡しの役割もします。組織内外の人間関係の改善とコミュニケーションの円滑化が図れます。スタッフや社員の隠れた才能を引き出す能力が身に付き、関係性も高まります。

将来の幹部候補にエクゼクティブコーチをつけることで、後継者の育成を図ることができ、人材の流出を防ぐことができます。

コーチングを全社員に実施することで、リーダーシップと人間的な魅力に溢れたリーダーやマネージャーが育ちます。そして一人一人が自立したオーナー意識を持った全員経営の実現ができます。

将来に対する危機意識、リスクマネジメントの観点からだけでなく、思考の枠を広げるうえでもエグゼクティブコーチをつけてみることをお勧めします。

優れたアスリートには皆コーチが付いているように、経営者一人一人にパートナーとなるコーチ(エグゼクティブコーチ)がいれば、安心して経営に専念することができます。

エグゼクティブ・コーチングへの誤解「業界経験のないあなたに何故経営者のコーチができるのですか?」(2019/08/06)

残念ながら、日本ではまだエグゼクティブ・コーチングの素晴らしい本質とその効用が理解されているとはいえないのが現状です。

エグゼクティブ・コーチングについて話をすると、
「〇〇業界関係の職業に関わった経験がない人が、どうして経営者のコーチができるのでしょうか?」
と多くの人から聞かれます。

曰く、
「この分野にそれほど造詣が深いわけではないのに、どうしてコーチができるのか」
ということですね。

エグゼクティブコーチの役割

経営者に行うエグゼクティブ・コーチングとは、企業経営に関わるものがテーマの中心にはなりますが、経営の要諦はどんな産業も企業も変わりません。
あらゆる経営に通じる基本理念や経営方針、事業計画にまつわる戦略や戦術、そしてコーポーレート・ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどをベースにして、経営者が抱えるさまざまな問題や課題を、あくまでも『経営者が主体となって』解決するお手伝いをするのが、エグゼクティブコーチです。

主体は経営者自身にあり、エグゼクティブコーチには、特殊な業界知識や製品知識は必要ありません。
エグゼクティブ・コーチングの目的は、経営者が安心して経営に専念できる環境を整えることです。

エクゼクティブコーチは具体的に次のような関わりを持ちます。

  • エグゼクティブ(経営者)の新たな気づきやアイデアの創出、潜在能力の開発
  • 将来ビジョンの策定、目標設定やコミットメント
  • 動機付けやモチベーション、勇気づけの提供
  • リーダー教育、後継者の育成、社内コーチの育成
  • 経営革新、社内の活性化、フィロソフィーの策定
  • 人間関係改善、コミュニケーションの円滑化
  • 価値観の調和、情報の共有化など

エグゼクティブコーチは、経営者のみならず、役員や幹部社員のパフォーマンス向上や教育にも携わります。

エグゼクティブコーチは経営者の心の軍師

「経営者は社内では孤独であり、心を許した相談相手も少ない」という声をよく耳にします。
一人で悩み決断を迫られている経営者に、心の底から信頼できる心の軍師が傍らにいてくれたら、安心ではないでしょうか。
経営者の孤独は社内の人間では救えません。

エグゼクティブ・コーチングの最大の目的は、「すぐれた経営者」に成長して頂くことです。
すぐれた経営者とは、経営のプロフェッショナルであり、同時に豊かな人間性と社会性を兼ね備えた経営者です。
経営のプロフェッショナルとは、いかなる状況にあろうとも、同業他社よりも高い利益を上げ、企業を健全に成長させる能力を持った経営者です。
しかも私利私欲を求めるのではなく、従業員や社会全体の幸福に貢献することを真剣に考え、行動する経営者です。
多くの人が自然に集まって、その人のリーダーシップに従って、それぞれのベストを尽くすような人間的魅力に溢れた人です。

エグゼクティブコーチが、マネージャーや一般社員を対象とするコーチングと大きく違うのは、成果をROI(投下資本利益率)など経営数値で判断されるところです。
エグゼクティブ(経営者)は当然ながら企業の経営数値に対して全責任があります。

コーチングはすぐれた教育の手段です。人間の多様な可能性を信じ、成長のプロセスを重視します。
自分と部下の可能性を信じつつ、どのようにすれば、自分と周りの人がよりよい人生を過ごすことができるのかについて真剣に悩んでいるエグゼクティブ(経営者)の皆さんには、是非、エクゼクティブコーチを付けてみることをお勧めします。

えっ!これが「パワハラ」「セクハラ」?戸惑う上司 ~パワーハラスメント防止に役立つコーチング~(2019/06/22)

令和元年、5月29日、職場のパワーハラスメントの防止を企業に義務づける改正労働施策総合推進法などの関連法が成立しました。企業の危機管理の一環として、ハラスメント対策が必須となっています。

ハラスメントとは

「ハラスメント」とは、「苦しめること」「悩ませること」「嫌がらせ」を意味する英語です。
現在、法律で具体的に定義されているものとしては、「セクシャルハラスメント」、妊娠、出産、育児休業等に対する「マタニティハラスメント等」、そして「パワーハラスメント」の3種類があります。

ハラスメントの種類 定義・意味 ミニ解説
セクシャルハラスメント 職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、
①それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型セクシャルハラスメント)、
又は
②職場の環境が不快なものとなったため、労働者が就業する上で見過ごすことができない程度の支障が生じること(環境型ハラスメント)
■「職場」には、出張先や取引先、業務で使用される車内、業務の延長と考えられる宴会なども含む。
■男性から女性に対して行われるものだけでなく、女性から男性あるいは同性に対するセクシャルハラスメントを含む。
マタニティハラスメント等 妊娠や出産をした仕事を持つ女性が、職場で嫌がらせを受けたり、異動・降格・減給・自主退職の強要・雇止めなどの不当な扱いを受けたりすること。 ■制度利用等への嫌がらせ型
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が掲げる制度・措置を利用しようとすること等により、就業環境が害されること。
(具体例)
・上司に妊娠を報告し育児休業を請求したら、「ウチは育休を取れる状況ではない」と言われた。
・育児時間をとって早く帰ると、同僚から嫌味を言われる。

■状態への無理解、嫌がらせ型
女性労働者が妊娠、出産したことなどにより就業環境が害されること。
(具体例)
・悪阻がひどいのに、上司から「妊娠は病気ではないので甘えないで欲しい」と言われた。
・子どもが発熱して遅刻や早退を申し出るたびに、同僚から「本当に迷惑」と嫌味を言われる。
職場のパワーハラスメント 職場において
①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③就業環境を害すること
1.「優越的な関係を背景に」とは、次のような場合をいう。
・職務上の地位が上位の者
による行為
・同僚又は部下による行為
で、行為を行う者が業務上必要な知識や経験を有しており、その協力を得なければ業務の円滑な遂行が困難なもの
・同僚又は部下からの集団
による行為で、これに抵抗または拒絶することが困難なもの

2.「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」には次のようなものがある。
・業務上明らかに必要でない行為
・業務の目的を大きく逸脱した行為
・業務を遂行する手段として不適切な行為
・行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念上に照らして許容される範囲を超える行為

3.「就業環境を害する」
ことには次のようなものがある。
・暴力による傷害を負わせる行為
・著しい暴言を吐くなどにより、人格を否定する行為
・何度も大声で怒鳴る、激しい叱責を執拗に繰り返す等により恐怖を感じさせる行為
・長期にわたる無視や能力に合わない仕事の付与等により、就業意欲を低下させる行為

(厚生労働省資料等をもとに加工)

どのような行為がパワーハラスメントにあたるかについては、2012年、職場のいじめ・嫌がらせの防止・解雇に向けた対策を労使や有識者、政府関係者によって検討した「円卓会議ワーキンググループ」の報告で下記6つの行為類型が提示されています。

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる ことや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

ハラスメント対策

セクシャルハラスメントやマタニティハラスメント、パワーハラスメントについては、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の規定に基づき、企業はハラスメントの予防や起こった場合の適切な対応などの措置を取る法的義務があります。違反した場合は、都道府県労働局長の指導や勧告を受けたり、企業名公表の対象になったりすることがあります。

ハラスメントのリスク

ハラスメントは、①ハラスメントによる職場環境の悪化によって、企業活動そのものが阻害されてしまう「企業運営リスク」、②ハラスメントの予防措置を十分に取らなかったとして損害賠償責任を問われる可能性がある「経済的リスク」、③企業に対する否定的な評価が広まる可能性がある「企業ブランド低下リスク」、④採用が難しくなり、人材流出も起こる可能性がある「人材確保リスク」といった様々なリスクとなることが考えられます。

企業としてまず次のようなことに取り組むべきことが必要です

①ハラスメントが許されない旨の事業主の方針の明確化と周知啓発、
②相談体制の整備、
③行為者の処分を含む事後の迅速かつ適切な対応、
④相談者などのプライバシーの保護など

何よりもハラスメントに対する社員の意識改革が必要です。「どのような行為がハラスメントとされるのか、なぜハラスメントとみなされるのか」の考え方をきちんと理解することが大切です。

会社など組織で働く以上、誰もがハラスメントを受け、自分が行う可能性を持っています。個人の価値観が多様化している現代社会では、相手の価値観の否定や自分の価値観の強要はパワーハラスメントとされる可能性があります。

特に注意が必要なのは、次のようなケースです。

  • 仕事以外のことを持ち出し、人格の否定につながるような言動をする
  • 関係性を良くしようと業務と関係のない容貌にふれたりして、余計な一言を発してしまう
  • 「背中を見て覚えろ」といったような明確な指示がなく仕事を強制する

大事なことは、社員同士の信頼関係が確立しているか、お互いを大切に思い、相手の立場を尊重するという人権尊重の意識がしっかり根づいているかです。

求められる「コーチングマインド」を持った人材

ハラスメント問題は予防が何より大切です。ひとたび問題が起こってしまうと、被害者も加害者も、そして企業も大きなダメージを負います。一人一人が相手の価値観を尊重し、気持ちよく働くことができ、能力を発揮できる環境をつくるには、日常からの取り組みが欠かせません。そのためにも、一人一人がコーチングマインドを持った社員に育てることが重要です。従来型の指示命令で部下を管理するという「管理型マネジメント」から一人一人の価値観を尊重し能力を活かす「コーチング型マネジメント」が益々求められています。

米国は人種のサラダボウル???(2019/06/14)

今回も友人Hさんとの会話からです。
「米国は人種のるつぼであるという表現は正しくない、人種のサラダボウルである、とある本に書かれていました。つまり融合しているわけではなく、それぞれの個性が個性を発揮しながら国を形成している、というわけですね」

「このたびの貿易戦争についても、このことを感じます。国としての意志が一つにまとまって貿易戦争を仕掛けているわけではなく、トランプ大統領という類まれな人物が大統領になったことで、さまざまな化学変化が起きている。

トゥキディデスの罠…従来の覇権国家、つまり米国に対して、新興の国家である中国がここまで大きくなってくると、戦争が不可避の状態にまでぶつかり合うようになる、という説が登場するまでに至っています」

「トランプ大統領というのは、ある意味オールマイティかもしれないなぁ、と思うのですね。

歴代大統領のなかで弾劾を受けたニクソン大統領が、マイナスイメージとしてのシンボルですが、ホワイトハウスの中でのニクソン大統領の肉声が公開され、それがとても下品であり、大統領ともあろう人物が…という“がっかり感”が弾劾を招いた要因の一つ、とも言われています。

一方トランプ大統領は、“下品な言葉”はトランプ大統領のキャラクターそのもので、最初から“立派さ”は期待されておらず、エリートが支配しているこの国に風穴を開けてほしい、という層からの強いラブコールがトランプ大統領を支えています」 

「日本のメディアはオバマ大統領のスタイルを是として報道してきていましたから、トランプ大統領のあり方には否定的です。

『なんでこんな人物が大統領でいられるのか!』と理解に苦しみます。でも米国での4月の支持率をみると46%ですから、米国民の半数がトランプ大統領に期待しているわけです」

ある現象を評価し、解釈する場合、与えられる情報がカギを握っていると思います。情報を提供する側が自分はフラットである、と思っていてもそこには意志の介在があります。

私が中国上海に駐在したときのマンションのちょうど向かいが上海総領事の公邸でした。駐在時に小泉総理が靖国神社に参拝したことで、それを批判するデモが起こっています。

上海市西部の虹橋にある総領事館は投石やペンキを入れたペットボトルなどが大量に投げ込まれ、武装警察が総領事館をぐるりと囲んで物々しい状況でした。

総領事公邸は総領事館の場所からかなり離れているのですが、入口の脇にある広報用のガラスケースが何者かに割られたのですね。

こちらの方は目立ったものではありませんでした。ところが日本から『Hさん大丈夫ですか? 上海は危険だから日本に戻るよう指示がでるかもしれません』という電話がかかってきたのです。

“総領事公邸のガラスが割られる”というニュースを日本では、テレビ・新聞が大きく取りあげており、このことで『中国は危険だ、上海は危険だ』という世論が1億2千万人の中に一気に形成された、というわけです。現地にいる私は違和感を覚えました」

Hさんの語りはこの後も続きました。
話を聴きながら、Hさんが言葉にする事柄には一つの傾向、スタンスが存在していると、私は感じています。

第一回目の冒頭で、「『中国は…中国人は…』とか『日本は…日本人は…』という表現を極力避けるようにしています」とHさんは言いました。このことについて事例を踏まえ、また表現を替えて、私に伝えているのです。

“分類して理解する”ということを私たちは求めます。さまざまな現象はそのままではわかりにくい、類似なモノをグルーピングし、それにラベルを貼っていく。考えてみれば学問のアプローチそのものかもしれません。

Hさんは、そういうわかりやすさを求める志向に対し、ちょっと距離を置き、時に懐疑の目で捉えることも大切なのではないか、と言っています。

30年来の友人とのこのたびの邂逅は、私に一つの刺激を与えてくれました。また機会があれば酒をくみ交わしましょう、とほろ酔いの気分で四谷を後にしたひと時でした。

米中貿易戦争にみる「妥協」と「調和」(2019/06/10)

今、米中の貿易戦争が問題になっています。
今回も友人Hさんとの対話からです。

「戦争とは相手を我々の意志に従わせるための暴力行為である。クラウゼビィッツが戦争論で定義づけていますが、シンプルな表現なのでしっかり覚えました。暴力までいってしまうとさすがに…なので代替手段としての関税合戦ですね。妥協の拒否です」

「国と国、という壮大なレベルではなく、人と人の関係をこの定義を使って考えたとき、自分と相手がいて、自分の意志と相手の意志が異なっている。自分の意志を押し通したい。でも相手は受け入れず拒絶する。双方の意志を何とか近づけ妥協点が見いだせればコトは解決するのだけど、双方が意志を曲げない」

「人間関係がスムーズにいかない、という状況の説明にぴったりだと思います」

Hさんは戦争論から人間関係の軋轢を解説します。その中で「妥協」という言葉が登場していますが、「妥協」について考えてみましょう。

「相手の意志の本質は何なのか?」
相手の立場になって想像力を働かせてみましょう。

そこまで真剣に私に訴える、ということは、それを訴えなければならない理由があるはずだ。でもその理由を言うことは、自分のプライドが許さない、自分の弱みを見せることになる…など、水面下に何かがあるのかもしれません。

絶対言ってほしくない言葉、触れてほしくないコト、つまり「琴線」、誰にでもありますね。
その「琴線」を守るために必死になったりします。

このような思考のプロセスを経てみると相手に対する感覚が違ってきます。
つまり少し余裕が生まれ、相手に対して優しく接することができそうです…

さてHさんです。中国の「琴線」…国家体制の「根幹」について語りが始まりました。

「1949年に毛沢東が天安門の壇上に立ち中華人民共和国の建国を宣言しました。100年という期間、どのような人物、組織も成し遂げることができなかった奇跡を実現したのは共産党であり、共産党そのものが国家である、という勝利宣言です」

「改革開放政策を正当化するために社会主義市場経済という言葉を生み出し、あくまでも共産党が指導する、という国家体制です。つまり“根幹”ですね」

「米国はこの“根幹”に迫っています。中国の国有企業の役割・中核的産業政策を見直せ!という要求なので、さすがに習近平は妥協のしようがない、折り合えない、ということだと思います・・・」

この後、Hさんは米国の立場を語り始めますが、それは次回としましょう。

米中貿易摩擦のような国家間の問題については、そんなに簡単ではないでしょうが・・・、 会社と個人の価値観など「価値観の調和」を考えることはとても重要です。

私たちは、時として多くのものに妥協しながら生活しています。その多くは不必要なものであり、私たちを立ち止まらせ、苦しみを与え、時間とエネルギーを消耗させます。

「妥協」することで成長の妨げになっていないだろうか?
「妥協」することで、自分の中に心理的なゲームをつくり出していないだろうか?

「妥協」ではなく、お互いの価値観を尊重し、「調和」を生み出す

ことが大切です。

「自分は思い込んでいない」という思い込み???(2019/06/02)

前回に続き、友人H氏との会話からです。

「私はケータイを格安スマホの楽天モバイルに変えました、1年くらい前かな…その際、端末は迷うことなくHUAWEIを選んでいます」

茶目っ気の表情で“フアウェイジィーシュウ(華為技術)”と中国語を披歴したHさんは、手元のスマホをひっくり返し、2つある小さなカメラのレンズを指さします。

「HUAWEIのスマホのウリはデュアルカメラですね。撮影後フォーカスする位置を変えることができます。渋谷のスクランブル交差点をビル高層階から撮影し遠景を操作することで人と車がまるでジオラマに見えてしまう写真を以前見たことがありますが、そんな画像もつくることができます」

「私が中国で仕事をしていたのは10年以上前で、当時HUAWEIはまだそれほどメジャーではなく、中国人スタッフのほとんどはSUMSUNGのシャープなデザインの機種を使っていました。それがこの10年で米中貿易戦争のど真ん中に位置するある意味世界一有名な巨大企業に成長したわけですから感慨無量です…」

「想像力って自由に未来を描けるはずだけど、これまでのイメージ、つまり過去に縛られてしまっている、という自分の頭の固さを思い知らされました」

私はHさんのこの言葉こそ、コーチングの意義を説明してくれていると感じました。

コーチングを求め、そしてコーチングに触れ、自分が思い込みにとらわれていたと気づき、そこから自由になったことで、ギクシャクしていた人間関係が円滑に進むようになることもあります。

逆説的に言えば、

“自分は思い込んでいないと思い込んでいる人”こそ、成長の機会を阻害されているということです。

例えば、
「部下を指導するにあたって“率先垂範”が何よりも重要だ!」と考えているAさんが ここにいるとします。

Aさんは、部下をぐいぐい引っ張り、お客様に対するプレゼンも自分ですべてやってしまいます。ところが…チームの成績は上がりません。部下の動きからも覇気が感じられません。
Aさんは悩みます。

そんなAさんからコーチングしてほしいと依頼があったとします。

コーチ:「Aさんにとっての率先垂範とはどういうことだと思いますか?」

Aさん:「先頭に立って模範を見せることですよね?彼に任せても失敗するだけだから、私のやり方を真似てほしいと思って、いつもやってあげているんです。」

コーチ:「彼に任せても失敗するだけと言いましたが、何回やらせてみました?」

Aさん:「そういえば、まだ1回もやらせていないですね。」

コーチ:「Aさんは優れたプレゼンターだと思いますが、初めの頃はどうでしたか?」

Aさん:「私も最初の頃は今のようにうまくできていたわけではありません。試行錯誤を繰り返しながらでしたね。
部下にも私のやり方を見て真似してほしいと思いましたが、私も先輩の良さを取り入れつつ、やりながら今の自分の型を作ってきたのを、すっかり忘れていました。・・・」

どうすることが部下の一番の成長につながるのか、部下の立場に立って考えることが必要です。

率先垂範は大事ですが、何でもかんでも自分がやってしまっては、部下の成長につながりません。背中を見せて、ただ「俺に付いて来い」という時代ではなくなっています。

信じて任せることが必要です。

コーチングの基本は相手を信じることからです。

率先垂範こそリーダーの役割だと思い込んでしまっていたAさんの例です。

「中国人は…」~ダイバーシティとコーチング~(2019/05/27)

Hさんはスマホをおもむろに取り出し、
「このロゴを見てくれますか?HUAWEIってあるでしょう、ファーウェイじゃなく正しい発音はフアウェイなんですよ」
と、笑みを浮かべ私に語りかけます。

令和という新しい時代となりましたので、本コラムも少し趣を変えて、30年来の友人であるHさんとの楽しいやりとりを数回シリーズで紹介しようと思います。

Hさんは私と同じく中小企業診断士です。
中西先生の門下生として共同執筆をしたのが縁で、以来付き合いは30年に及びます。

最近は数年に1度の邂逅ですが、先日
「五十嵐さん、本当にお久しぶりです。四谷にオフィスを構えられたにもかかわらずご挨拶ができていないので、お伺いしたいのですが…」
と嬉しい電話がかかってきました。

冒頭の会話は、居酒屋系焼鳥屋の大手チェーン店に場所を移し、座るや否やHさんの口から飛び出した一節です。

大手企業の中国現地法人総経理を経験したHさんの中国談義は時に脱線もし、私を戸惑わせますが、コーチングの視点がちりばめられており参考になります。

シリーズの初回は、われわれ日本人が“思い込みがちな中国という国のイメージ”を、よい意味で外してくれるHさんの語りにお付き合いください。

「私は『中国は…中国人は…』とか『日本は…日本人は…』という表現を極力避けるようにしています」

駐在を開始し、上海の日本商工クラブで行われる会合に参加してHさんは気づきます。
日本人だけの集まりであるその場で多くの企業人が『中国は…中国人は』と頻繁に口にすることを…。

尊敬を込めた語り、あるいは日本の優位性を強調する局面…内容はさまざまですが、不思議と“中国人の個人”“日本人の個人”が登場しない、とHさんは言います。

「それぞれの国は固有の歴史を抱え、当然それぞれの文化を持っているけれど、そのフレームで中国人個々人を括ってしまうことに抵抗を覚えたんですよね」

「中国現地法人のスタッフは、私以外すべて中国人でしたが、それぞれが実に個性的でした。
副総経理はTさんという大連出身の女性です。
カナダ国籍を取得し国家公務員としてカナダで仕事をしていた北京出身の彼とネットで知り合い、スカイプだけで交流を続け結婚しています(結婚前に直接会ったのは、カナダと北京の各1回のみと言っていました)。
その彼が日本人である私のことを“日本人は…”とネガティブに語るので、
『そういう言い方はやめたほうがよい。日本人にもさまざまな人がいるしH総経理は、あなたがイメージしている日本人とは違うよ。あなたこそ上海人から“北京人は何かといえば政治的議論を吹っかけるよね”と一般論を言われることに抵抗を持つじゃない』
、と言ってやりました、
と笑いながら私に話してくれます」

私はその話を聴きながら、ダイバーシティに想いを馳せていました。
コーチングとはすなわち一人ひとりの多様性を重視し、そこを立脚点として関係性を築いていくことです。

Hさんの話はたくさんの示唆を与えてくれます。
次回もHさんの話をとり上げていきます。楽しみにしてください。

日本青年会議所 第49回埼玉ブロック大会吉川松伏大会にて講演(2019/05/13)

日本青年会議所 第49回埼玉ブロック大会吉川松伏大会にて、【幹部のための組織力向上セミナー】をテーマとした講演をさせていただきます。

日時:2019年6月1日土曜日
開催場所:会場:田園ホール・エローラ(松伏町中央公民館) 3階 和室(和室1・和室2)
http://www.town.matsubushi.lg.jp/www/contents/1376522567123/index.html
住所:埼玉県北葛飾郡松伏町ゆめみ野東3-14-6
電話:048-992-1321
対象:各地会員会議所会員 60名(理事長・副理事長候補者)

「令和」とコーチング(2019/05/05)

2019年5月1日、令和元年がスタートしました。

「Beautiful Harmony=美しい調和」

外務省は、新元号『令和』について外国政府に英語で説明する際、「Beautiful Harmony=美しい調和」と表現しているようです。

『令和』には、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められていると言います。世界中の人々に、そんな思いが届くことを願います。

「人々が美しく心を寄せ合う」には、まず一人一人が幸せを感じ、生き甲斐を持って生きることが必要です。その意味でも『令和』は、まさにコーチングの時代です。

『令和』はコーチングの時代

生き甲斐を持っている人は、自分の弱さも強さも受け容れつつ、自分らしく生きています。
言い換えれば、生き甲斐はその人の中の調和の表現ということができます。人々が美しく心を寄せ合う、そんな社会の基盤をつくるうえで、コーチングの考え方やスキルが大切です。

コーチングでは、まず何よりもクライアント(相手)が何を望んでいるかということに焦点を当てます。
コーチングを受けようとする人の理由は様々ですが、根底の部分で共通しているのは、皆、変化を望んでいるということです。何かを変えたい、と思っています。

「起業したい」「資格を取りたい」といった具体的な目標を既に持っている人もいれば、「もっと自分らしい仕事がしたい」「幸せになりたい」といった抽象的な願いを持っている人もいます。

コーチングは特別の人のものではない

コーチングは何か特別な人のためのものではなく、すべての人のものです。人は誰もが人生の主人公です。コーチングの考え方やスキルは、人が自信を持って、楽しみながら、自分の力で人生を切り拓いていくうえで必要なものだからです。

コーチングは、ビジネスの分野だけでなく、家庭、子育て、健康、学校、地域生活などあらゆる場面で適応できるものであり、その人の人生全体を扱います。

生き甲斐のある人生、充実感にあふれた人生とは、その人が本当に大事だと思っていること、価値を置いていることで満たされた人生です。したがってコーチングでは、クライアント(相手)が大切にしているもの、価値観を扱います。

クライアント(相手)が何に価値を置いているかを明確にすることは、その人が人生において何を選択すべきかを明確にすることでもあります。自らの価値観に沿った選択を行うほど、その人の人生は自然に充実感に満ちたものになっていくでしょう。

コーチングをすべての人が、当たり前に、日常で学び、身につけ、ありとあらゆる場面で使われるようになれば、それが文化になります。

世界に広くコーチングの本質と価値が広まれば、人々が美しく心を寄せ合う『令和』(Beautiful Harmony)社会実現も夢ではありません。

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