エグゼクティブ・コーチの視点(2019/04/10)

エグゼクティブ(経営者)は見ている世界が違う

経営者や経営幹部層をコーチングするエグゼクティブ・コーチングと一般の人を対象にしたコーチングとは何が違うのでしょうか?

エグゼクティブ(経営者)は、一般の社員とは見ている視点が異なります。

30階建てのビルを想定みましょう。
1階から見る景色と30階から見る景色では、当然違ってきます。

何が見えるかは、何を通して見ているかによって変わります。
汚れた窓を通して何かを見ようとしても、目に映るものは“汚れ”であり、向こう側にある物は見えません。

コーチは常に、エグゼクティブ(経営者)の抱える問題に対して、エグゼクティブ(経営者)と異なった観点を持つことになります。
コーチは問題の当事者ではありませんので、エグゼクティブ(経営者)とは異なった観点を与えることができるのです。

コーチは別の観点を与えることで、エグゼクティブ(経営者)の体験を別の角度から見る機会を与えます。
そして、エグゼクティブ(経営者)がこれまで気づかなかった別の可能性や選択肢に気づくようにします。

エグゼクティブ(経営者)は、自分のことよりも、常に社員のこと、会社のこと、取引先のこと、社会のことを考えて行動しています。

そのため、エグゼクティブ・コーチは、特に、その対象者となるエグゼクティブ(経営者)自身のリーダーとしてのあり方や、組織や周囲への影響力ということを意識する必要があります。

例えば、ある経営幹部の部下が、様々な問題を引き起こす「問題児」だったとします。

この場合、一般的には、その部下にどのようになってほしいか、エグゼクティブ(経営者)がどんなことを望んでいるのかを明らかにし、

そのためには部下にどのように対応すればよいかを一緒に見つけ出し、その行動を実際に部下に取ってもらい、部下の問題行動を減らしていく、ということをしていきます。

エグゼクティブ(経営者)としてのリーダーシップ力

エグゼクティブ・コーチングは、エクゼクティブ自身のリーダーシップを高めていただくという目的があります。
そこで、コーチングするときは、次のような質問をしてみます。

問題の部下をAとします。

「部下Aを前にすると、どのようなことを考える傾向にありますか?」
「部下Aに対しては、どのようなレッテルを貼りがちですか?」
「部下Aは、自分にとってどのような存在だと捉える傾向にありますか?」
「部下Aの存在は、自分の未来にどのような貢献をしてくれると思いますか?」
「人に対する問題を解決する時に、どんなパターンをとる傾向がありますか?」

つまり、部下の問題行動を入口にして、自分がどのように反応する傾向があるのかを考え、こういう時にどのように乗り越えていくかをつくり上げていきます。

これによって、次に同じような問題が起こったとしても、慌てることなく対処できるようにいける力をつけることにあります。

今の目の前の問題を解決するだけでなく、将来の課題をも解決できるような力をつけてもらうことを考えます。

一般のコーチングと何が違うのか言えば、対象者と扱うテーマ、そして焦点の当て方が少し違います。

エグゼクティブ(経営者)としてのリーダーシップ能力をいかに高めるかが重要な目的の一つになっています。

エグゼクティブ(経営者)の成長と共に、エグゼクティブ・コーチ自身の見る世界も変えていく必要があります。

経営環境が大きく変化し続ける今は、「ありたい姿」そのものが問われる時代です。

現状をベースにして、その延長線上に「あるべき未来」を描くよりも、先に「ありたい未来」を思い描き、そこから「あるべき現実」を探っていくことの方が有効な場合があります。
そのためにこそ、エグゼクティブ・コーチが必要ではないかと考えています。

エグゼクティブ・コーチの魅力(2019/04/05)

コーチングが公式に発見されたといわれるのは、1971年のアメリカです。

ティモシー・ガルウェイの著書『インナーゲーム』がその原点とも言われています。

ティモシー・ガルウェイは、テニスのコーチをしていましたが、ふとしたきっかけで、 これまでの伝統的な教え方ではなく、生徒の自発性を高めるやり方の方が成長が 早いことに気がつき、それを『インナーゲーム』という書籍にして発表しました。

そのことが、当時テニスを趣味としていたエグゼクティブを介して、ビジネスの世界へ伝えられ、その有効性が認められる至ったとされています。

最初はスポーツの世界で、新しい指導法として考えられたコーチングが、ビジネスの現場で、社員の自発性やモチベーションを高めるために利用されるようになりました。

一方で、個人の人生を豊かにするためにもコーチングが有効ではないかと考える人も現れました。

このように、スポーツからビジネスへ、そして個人の人生へと、コーチングの対象分野が広がりました。

コーチングの3つの領域

こうしたことを背景に、コーチングは、大きく次の3つの領域に分かれて活動しています。

一つは、ライフコーチとかパーソナルコーチと呼ばれているコーチです。
個人を対象に、一人一人の人生をもっと豊かにすることを目的に、ダイエットや婚活 など様々なテーマでコーチングしています。

二つ目は、ビジネスコーチと呼ばれているコーチです。
ビジネス上の成果や問題解決を主なテーマにコーチングしているコーチのことです。
パーソナルコーチは、クライアント本人がコーチを雇うのに対して、ビジネスコーチは 会社がマネジメント層にコーチを雇うなど様々な形態があります。

三つ目は、エグゼクティブ・コーチです。
エグゼクティブ層(経営者・経営幹部)に対してコーチングを提供するコーチのことで す。
エグゼクティブ・コーチの本来の意味は、選ばれたコーチのことを言います。
日本ではまだ少ないのが現状です。

エグゼクティブはなぜコーチが必要なのか?

世界的な大企業ゼネラル・エレクトリック社の元CEO(会長)ジャック・ウェルチ氏は、コーチを数名つけていたようですが、中でも20歳代の女性のコーチをつけていたということで知られています。

また、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、ある講演で次のように語っています。

「すべての人に、コーチは必要です。
私たちには、フィードバックしてくれる人が必要なのです。
私たちは、フィードバックを受けることで成長するのです。」

グーグルの元CEO(会長)エリック・シュミット氏やフェイスブックのCEOザッカー・バーグ氏など、世界の名だたる経営者は皆、コーチをつけていました。

なぜ、コーチをつけるのでしょうか?

「自分とは別の視点を持つためだ」と言います。

自分で自分のことはなかなか分からないものです。自分の後ろ姿を見ることはできません。だからこそ、気づきを与えてくれるコーチのような存在が必要なのです。

エグゼクティブ・コーチの魅力

エグゼクティブ・コーチの魅力としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 経営者や経営幹部のコーチングできる人が求められているにも関わらず、やっている人はまだ少なく、今最も期待されている分野です。
  • エグゼクティブ・コーチングは、他のコーチングよりも一般的に高単価ですので、高収入につながります。
  • 一度信頼を得れば、会社や経営者と長期にわたって、安定的・継続的な取引ができます。
  • 経営幹部のみならず、社員のコーチングなど会社まるごとコーチングにつながる こともあります。
  • 日本ではまだやっている人が少なく、選ばれたコーチとして影響力を発揮できます。
  • AI(人工知能)がどんなに進化しても必要な仕事であり、今後益々成長が期待できる分野です。

エグゼクティブ・コーチは中小企業経営者にこそ必要?!

日本企業の99.7%は中小企業です。日本は中小企業が元気でいてこそ成り立っている国です。しかも、日本の中小企業の中には、素晴らしい技術を持った企業が数多くあります。

しかしながら、後継者がいない、など様々な課題を抱え、一人で悩んでいるエグゼクティブ(経営者)がたくさんいます。

中小企業にこそ、パートナーとなるコーチのような存在が必要です。
多くの中小企業経営者は、あらゆる問題に対して一人で決断しています。

エグゼクティブ(経営者)の傍らにコーチがいることで、より的確な判断ができ、経営のパフォーマンスも上がります。その結果、企業の成長と日本経済の発展に貢献できます。

エグゼクティブ・コーチは、そんな経営者の笑顔をつくり、企業の成長と社員の幸せのお手伝いをする仕事と言えます。

私の願いは、優れたアスリートには皆コーチがついているように、“中小企業経営者一人一人にコーチがいる”環境を提供することです。

コーチングが有効な1on1ミーティング(2019/03/28)

新年度を迎え、新入社員や転入社員なども加わり、職場の雰囲気もガラリと変わる時期ですね。人事担当者や現場のマネージャーにとっては、いろいろと頭を悩ます時期でもあるかと思います。

日本の人事考課は、半年または1年ごとに従業員の業績や能力、貢献度などを評価し、昇給や昇進に反映するというスタイルが主流です。

年度初めに目標を設定し、年度末に自己評価、上司の評価、上司との面談によって評価を行います。

しかし近年、経営環境の変化が激しく、半年、1年前に決めた目標で評価を行うことが難しくなっていることもあり、期間を区切った人事評価を廃止する企業も出てきています。

最近では、日常のコミュニケーションを重視したアプローチが重要になっています。

1on1ミーティング(1to1ミーティング)

そこで、コミュニケーションを密にする方法として、「1on1ミーティング」(1to1ミーティングとも呼ばれています)が注目されています。

1on1ミーティングでは、上司は部下の話に耳を傾け、必要に応じてアドバイスを与えたりします。
お互いに自然体で話す場を定期的に設けることで、日常から部下の考えや行動を知る機会ともなります。部下との信頼関係をつくることにもつながります。

1on1ミーティングは優れた手法ですが、導入にあたってはしっかりとした準備が必要です。
人事部から「定期的に部下と1on1ミーティングを実施してほしい」と言われ、戸惑うマネージャーは大勢います。

経験のないマネージャーにとっては、「何を話せばいいのか」が分からず、目標管理(MBO管理)と混同していたりする人もいます。また世間話や部下の愚痴のはけ口で終わってしまうケースもあります。

1on1ミーティングの本来の目的は、部下の現状を把握し成長へと導くことにあります。

1on1ミーティングによって、部下一人一人の能力を引き出すためのアプローチです。
そのためには、コーチングのスキルが必要になります。

コーチング5ステップ

面談の具体的方法は、コーチングの5ステップが役立ちます。

  • 面談の目的を明確にする
  • 部下の現状を理解する
  • 部下のありたい姿、価値観、大事にしていることなどを把握する
  • ありたい姿と現状とのギャップを埋めるために、具体的にどうするかを考える
  • 計画を立て、実行する

単なる業務報告や進捗管理ではありません。
成果や失敗を問う場でもありません。

面接のような堅苦しい雰囲気ではなく、是非明るく楽しく行いたいものです。
日常の面談では、部下の感情面に配慮し、まずは部下を理解することに努めるようにするとよいでしょう。

1on1ミーティングというと、部下を管理するための面談と思っているマネージャーも多く、どうしても視点が過去に行きがちです。

部下のできていないところやダメなところばかりに目がいって、指示命令やティーチングばかりになってしまうと、部下は上司と面談すること自体が苦痛になり、口を閉ざしてしまうことになり逆効果です。

未来を意識し、未来に働きかけることがポイントです。

イチロー選手にみるコーチング・ファウンデーション(自己基盤)(2019/03/25)

大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手が、3月21日、45歳で現役引退を表明しました。

日米通算 4367安打(打率.322) 米国通算3089安打
大リーグ 10年連続200安打達成(2004年の262安打は最多安打記録)

日米球界でいくつもの記録を塗り替え、独自の哲学と妥協のない姿勢で野球と真摯に向き合ってきたその姿は学ぶところが多いですね。

妥協なく技を探求し、健康面でも自己管理を徹底。自分の限界をはかりながら、それを少しずつ超えることを心がけたといいます。

野球の枠を超え、人々に勇気を与えてくれました。

コーチングにおいて大切なのはファウンデーション(自己基盤)

コーチングも単なるスキルではありません。
クライアントに質の高いコーチングを提供していくうえで、まずはコーチ自身の土台を整え続けることが必須です。

目標を達成できる人とできない人の差はどこにあるのでしょうか?

イチロー選手のように、次々と目標達成を進めて、よりよい充実した人生を過ごす人もいれば、目標達成が叶っても満足できず、充実感を得られない人もいます。
そもそも目標達成に向かおうとしない人もいます。

その違いはどこからくるのでしょうか?
それはその人の土台ともいえる「ファウンデーション」が整っているかどうかの違いからきています。

それでは「ファウンデーション」とは何でしょうか?
建物を建てるときに一番時間をかけているのが基礎工事です。特に高い建物を建てようと思えば思うほど、この基礎工事が重要になります。

私たち人間も同じです。なりたい自分になるための土台、それがファウンデーションです。地盤が強固なほど、自分の人生を思い通りに描くことができ、行動できます。

具体的には、次のようなことがあげられます。
(1)自分を理解し、自分を認めてあげる
(2)他者との違いを受けとめる
(3)ありのままの自分を受けとめ、自分らしい一歩を踏み出すエネルギーに満たされてい る
(4)やりたいことに挑戦できている

イチロー選手の次の言葉に、その生き方のヒントがあるように思います。

遠回りすることでしか本当の自分に出会えない

「自分の限界をちょっと超えるというのを繰り返していく。少しずつの積み重ねでしか自分を超えていけないと思う。地道に進むしかない。進むだけではなく後退もしながら、ある時には後退しかない時期もある。でも自分がやると決めたことを信じてやっていく。間違ったことを続けてしまっていることもある。そうやって遠回りをすることでしか本当の自分に出会えない、そんな気がしている」

できると思うから挑戦するのではなく、やりたいと思うから挑戦する

「新しい世界に挑戦することは勇気がいる。成功すると思うからやってみたい、できないからいかないという判断基準では後悔を生む。
できると思うから挑戦するのではなく、やりたいと思うから挑戦する。(そうすれば)どんな結果でも後悔はない」

人より頑張る、ではなく自分の中のはかりを使う

「人より頑張る、というのではなく、自分の中のはかりを使い、自分の限界を見ながら、少しずつ(自分を)越えていった結果である」

背伸びをしてポジティブシンキングになる必要はない(2019/03/21)

「コーチングは何でもポジティブに考えればいいんでしょ!」

そんな風にコーチングを考えている人もいますが、コーチングとは自分の力以上に背伸びをしてムリにポジティブシンキングをすることでもありません。

コーチングとはありのままの自分を認め、ありのままのクライアントを認めることが大前提です。

脳科学の世界では、たとえば他人に対して「バカ!」「最低だ!」などとののしると、脳はそれを全て自分のこととしてとらえるので、ネガティブな言葉は極力使わないほうがいいといわれます。

確かに、ネガティブな言葉を使うと、それを言われた人も、発言した人も、ネガティブな気持ちになってしまいます。
コーチングでも、決してクライアントを否定したり、ネガティブないい方で責めたりはしないのが大前提です。

クライアント自身が「あれは失敗でした……」とネガティブなことを話しても、
「なぜ、失敗するようなことをしてしまったのですか?」などと、相手を責めているように聞こえる質問はしないのがコーチングの鉄則です。

失敗したといわれたら、「どんなことがあったのですか?」という風に、まず事実を尋ねるような質問のしかたをすることがポイントです。

間違っても、「そんな失敗ぐらい、たいしたことないですよ。もっと悲惨な人がいますからね!」などと、強引にポジティブな方向に相手の思考をコントロールしようとするのはコーチングではありません。

ネガティブを否定するあまり、過剰にポジティブな方向に持っていこうとしてみても、ネガティブなものにひっかかっているクライアントが説得されることはないですし、クライアント自身の自発的な行動にも結びつきません。

仮に失敗をどうやってプラスに転じるかというテーマであれば、
「うまくいかなかった中で、あなたが少しでも何か得たことがあるとしたら、それはどんなことですか?」
「失敗を防ぐために改善できる点があるとしたら、どんなことが考えられますか?」
など、相手が自分の中からプラスを引き出すような質問をなげかけることが大切です。

何も無理にポジティブになる必要はありませんが、大事なのは心の持ち方です。

できなかったり、失敗したりすると、
「~がなかったから失敗した」「~だからできない」「~があればできるのに」
というように、できない理由を、自分以外のせいにする人がいます。

能力にしても、環境にしても、何かが足りなくても、そのことに挑戦してみるという気概が成長には必要です。

あの、見えない、聞こえない、話せないという三重苦を克服したヘレン・ケラーの言葉は、
「人間にとって、一番恐ろしい敵は不遇ではなくて、自分の心です。自分をこんな人間だと思っていると、それだけの人間にしかなれません。」
と言っています。

コーチに必要なのは、「人は無限の可能性がある」ということを信じて関わることです。
ヘレン・ケラーを育てたサリバン先生のように、諦めないことです。

コーチングのスキル編「承認のスキル」~相手の「小さな一歩」を認めてあげる~(2019/03/12)

「この半年間、自分では頑張っているつもりなんですけど、全然進歩してなくて……」

「半年前は、この業務に1週間以上かかっていたようですが、今は4~5日で完了できていますよね。作業に少しずつ慣れてきたのではないですか?」

「あ、言われてみると、確かにちょっとは慣れてきたかもしれないですね。まだまだ目標には及ばないけど、そういえば前よりは早くできるようになっているかも……!」

人は自分のことをわかっているようで、実は他人のほうが客観的に見えていることが少なからずあります。

自分の変化や成長を自分で認識しにくく、他人に具体的に指摘されることで、初めて自分の成長を認識して、「自分もできるんだ」という自信を持つことができます。

それによって、クライアントは「頑張ろう」という意欲をも持って目標に向かってチャレンジしていくことができます。

ポイントは、相手の「小さな一歩に気付いてあげる」ということです。
通常、私たちは、自分が歩けることは当たり前だと思っていますよね。
でも、ハイハイしかできなかった子どもが、初めて自分の足で一歩前に進んだとき、「すごい、すごい!」と感激します。

どんなに小さな一歩でも、どんなに拙い一歩でも、全てはそこから始まるのです。
できる人には、「そんなことは、できて当たり前」かもしれません。
しかし、まったくできなかった「ゼロ」の人にとって、「1」に前進するのは容易なことではありません。

必死に頑張っている人に、
「その一歩で、また頂上に一歩近づいたね」
とエールを贈れば、
「よし、今は辛いけど、一歩一歩頑張ろう!」
という気持ちになりますよね。

同じように、コーチはクライアントの一歩の素晴らしさを伝えてあげることが大切なのです。

「ほめる」と「認める」は別もの

「コーチングって、要するに相手をほめればいいんでしょ」
そんな風に思っている人もいるようですが、「ほめる」ことと「認める」ことは違います。

「ほめる」とは、相手の良い点や上げた成果を取り上げ、相手を肯定的に評価し、それを伝えることです。

それに対して、「認める」は、事実・存在をそのまま伝えることであり、肯定・否定に関わらず、評価を含みません。

「ほめる」ことは承認の一部ではありますが、すべてではありません。
「ほめる」のは、相手が何か成果を出したときです。
言い換えれば、成果を出さなければ「ほめられない」ということが起きます。

「認める(承認)ためには、条件はいりません。

クライアントが「今、最悪な状態なんですよ」と落ち込んでいたとしたら、コーチは、
「今は最悪な状態なんですね。ただ、ここに関しては少しよくなっていますよ」
という事実を伝えることはあっても、自分が思ってもいないのに、相手を元気付けるためにムリにほめちぎったりはしません。

どんなにほめ言葉を重ねられても、本当にそう思っていない相手に、歯の浮くようなほめられ方をしても、嬉しくはないものです。

まして、「相手に嫌われたくない」「この場を平和に収めておきたい」という思いで、誰かをほめるのは、相手のためを思っているのではなく、自分の保身のためです。

また、相手がどんなタイプであるかということによって、ほめ方も変わってきます。

ほめるときには、少なからず「評価」を伴いますが、コーチとはクライアントを上から目線で評価する存在ではなく、クライアントと対等な存在です。

やたらとほめて相手をダメにすることを「ほめ殺し」といますが、コーチングとは、あくまでもクライアント自身が成長するためのサポートであって、ほめて相手をコントロールするものではないのです。

ただ、「○○さんが、あなたがいてくれたからうまくいったと感謝していましたよ」と、第三者がクライアントをほめていた事実を伝えるのは、クライアントの意欲を向上させるきっかけになり得ます。

最近は「ほめ育て」という言葉もよく聞かれますが、相手のことを認めるコーチングの手法は、子育てにおいて、とても大切です。

コーチングのスキル編「承認のスキル」~相手を認めることから始まる~(2019/03/07)

「愛の反対は憎しみではなく、無関心です」
これはマザー・テレサの有名な言葉です。

人間にとって、自分にまったく関心が持たれないことは、憎しみにも勝る苦痛です。
関心を持つということは、相手のことを認めるということです。

コーチングをする際の心得として、まずコーチ自身が自分のことを認め、クライアントのこともありのまま認める必要があります。

アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものであると説きましたが、人は成長すればするほど「自分を認めてほしい」という自我の欲求が芽生えてきます。

マズローの提唱した有名な「人間の欲求5段階理論」のピラミッドでは、

1番下の段は自分の命を維持するための「生理的欲求」、
2段目は自分の身を危険から護るための「安全の欲求」、
3段目は家庭や学校、会社、コミュニティなどの集団に受け入れられたいという「所属の欲求(社会的欲求)」となっています。
そして4段目が、他人から認められたいという「承認の欲求(尊厳欲求)」、
最も高い5段目が、あるべき自分になりたいという「自己実現の欲求」となっています。

コーチは、クライアントが自己実現の欲求に向かえるように、相手の所属の欲求や、承認の欲求を満たすような言動をすることが大切です。

といっても、難しく考える必要はありません。

「○○さん、こんにちは」
相手が部屋に入ってき瞬間、笑顔でこういうだけでも、相手の存在に気付いて認めていることになります。

一見当たり前のことのようですが、ポイントは相手の目を見て、相手の名前を呼びかけて挨拶をするということです。
それだけで、相手は瞬時に「この人は自分の存在を認めてくれている」と感じて安心します。

相手が気付いていないことも伝えてあげる

「なんで気付いてくれないの?!」

美容院で髪型を変えたのに、パートナーが全然気付いてくれないと不満を持つ女性の声をよく聞きますが、不満に感じるのは、髪型が変わったことにさえ気付けないということは、「いかに相手が自分のことに関心を持って見てくれていないか」という事実の表れだからです。

「あなたのことをちゃんと見ていますよ」ということを相手に伝えるには、この髪型の例のように明らかな見た目の変化はもちろん、相手さえ気付いていないことも伝えてあげるのがポイントです。

「今日はすごく目がきらきら輝いていますね。何かいいことがありました?」
「忙しくて寝てないといわれましたけど、とても顔色がよくてエネルギッシュな感じに見えますよ」

そんな風に、相手が自覚していないことをさり気なく伝えることで、
「あなたのことを見守っていますよ」
というメッセージを伝えることができます。

コーチングを受けてみよう(2019/02/28)

コーチに自己基盤がないと、クライアントの可能性を信じることができません。
コーチ自身が自分の可能性を信じられないのに、クライアントの可能性を信じることができるわけがありません。
コーチが自己基盤をつくるためには、自分自身もコーチを付けて、実際にコーチングを受けてみるといいでしょう。

コーチングのセッションを受けて自分自身が変わったことがきっかけでコーチングを学び始めた人もいます。
まずコーチングを受けてから学び始めてもいいし、コーチングを学びながら、自分にコーチを付けてコーチングを受けるのでもかまいません。
いずれにしても、自分自身がコーチングの効果をリアルに体験しないで、人に本気ですすめることはできません。

コーチを目指す人は、自分に合うコーチを探すのも、ひとつの経験になります。
コーチを探すときは、コーチのホームページやブログ、メルマガなどを見て、相性のあいそうなコーチを探す人が多いと思いますが、「百聞は一見に如かず」で、やはり実際に会ってセッションを受けてみるのが1番です。

弊社登録のパートナーコーチから探すこともできます。
https://coaching-labo.co.jp/coach

コーチによって料金設定は異なりますが、通常は無料~5,000円程度のトライアル価格でお試し的にセッションを受けることができます。
もし「このコーチは自分にあまり合わないな……」「このコーチは何となく話しにくいな」などと感じたら、病院でセカンドオピニオンやサードオピニオンを求めるように、別のコーチにチェンジしてもかまいません。

ときどき、自分探しのために、あちこちで占いを受けている女性がいますが、自分の未来の可能性は、占いで告げられなくても、コーチングによって自分自身の力で引き出すことができます。

体験談
コーチをつけてどんな変化・成果を得ましたか?

心の奥にしまっていたことや、過去の苦い思い出が、現在の自分の原動力になる、と気づいたセッションがありました。
昔、教え子との人間関係につまづいたこと、それを繰り返したくないと思い始めたアドラーの学び。でも私の心の中では触れたくない、なかったことにしたい、誰にも言えなかったエピソードでした。
セッションの質問から、この教え子のことを話してみたところ、思いもよらないフィードバックをもらいました。
「それは広美さんにとってのギフトですね」
なかったことにしたい、隠しておきたい思い出が、実は私にとっての大きな贈り物であること。
それが現在の私を強く動かしていること。コーチングセッションでこのような気づきを得ました。
(須賀広美/講師)

人のことは冷静に観ることができても、自分のこととなると、まったく分からなくなります。
私が陥っている状況、例えば子どもの受験を必要以上に心配しすぎていること、努力は本人にしかできないこと、など気づかせて頂いてからは、落ち着いて観ていることができるようになりました。
特に不安な想いはどんどん増幅しがちなので、感情面においてコーチングを受けることの恩恵は大きいと感じています。
(坂本由美/主婦)

・自分の中に隠れていた願望が引き出され、かつイメージすることによって、漠然としいているものを時々思い出し、意識に上らせることができる。
・バラバラになっていた自分の強みのようなものが分かる
 (都会よりも自然が好きなど)
・人に聞いてもらうことの大切さが普通の相談(雑談)より、コーチングが格段に深いということが分かる。
(戸田ふみ子(まりん)/スビリチュアルコーチ)

大坂なおみ選手が「次のコーチに期待する」重要ポイント(2019/02/19)

世界ランキング1位となった女子テニスの大坂なおみ選手のコーチ変更が話題になっています。

全豪オーブンのシングルスで優勝して世界ランキング1位となって以来初のツアー大会ドバイ選手権の前の記者会見で、サーシャ・バイン氏とのコーチ契約解消を発表しました。

発表によると、大坂なおみ選手は、
「チームのエネルギーを変えるためだった。幸せでいる以上の成功など望んでいないし、私を幸せにしてくれる人々と一緒にいたかった。」
と、女子ツアーを統括するWTA(女子テニス協会)が報じています。

WTAによると、大坂なおみ選手は、
「昨年春(4月)のチャールストン(米国)と同秋(9月)の北京で、同時にそのように感じ始めた。」
といいます。

その2大会は、試合中に泣き出したことでも知られ、精神的につらい大会だったようです。

契約解消は、
「すでに全豪の期間中には考えていた。大会期間中は何とか乗り越えないといけない、と自分に言い聞かせていた。でも、少し変だと気がついた人もいたと思う。」
と、胸の内にわだかまりを抱えながらの優勝だったことを明かしました。

今回の解消について、金銭面でのトラブルも噂にあがりましたが、大坂なおみ選手は、
「それが、最も自分を傷つけた。そんなことはない。」
ときっぱり否定しています。

「チームと一緒に転戦し、家族以上にいつもいる。そこにお金のことなど全く関係ない。」
と話しました。

また、サーシャ・バイン氏については、
「彼がしてくれたことすべてに感謝している。彼について、悪いことを言うつもりはない。」
「(内向的な)自分が、より人に心を開くことができるようになったのは彼のおかげです。」
と語っています。

コーチ解消の真相は分かりませんが、コーチの存在がとても大きなものであることが分かります。

誰をコーチにつけるかで、試合の結果のみならず、その人の人生にも大きな影響を与えます。

大坂なおみ選手が、次のコーチに期待するのは、
「ポジティブな思考の人。顔色を伺うのではなく、直接的にものを言ってくれる人がいい、それが最も重要な要素の一つ」
と言っていますが、ここにコーチのあり方に関する一つのヒントがあります。

コーチングのスキルでもある「フィードバック」の重要性です。

フィードバックとは、相手の話を聴いて、感じたこと、見えたこと、聞こえたこと等をそのまま伝えることです。

目的は、「相手の気づきを促す」ことにあります。

コーチは相手の“鏡”の役割を果たし、相手の感情や思いを感じ取り、伝えます。
仮にそれらが相手の思いや話している内容と違っていたとしても率直に伝えます。

ポジティブなこともネガティブなことも、正直に伝えます。
そうすることで、「気持ち」や「想い」「認識」を共有することができます。

時には勇気が必要です。

「こんなことを言ってしまっていいのだろうか」
「相手に失礼ではないだろうか」
「こんなことを言ってしまったら嫌われてしまうのではないか」
「相手を傷つけてしまうのではないか」

といった思いを克服することが求められます。
相手に対する尊敬や思いやりの気持ちが大切です。

自分の直感に耳を傾け、自分の思いに正直でいる強い意志が求められます。
直観を信じ、感じたことをそのまま相手に伝えます。

「フィードバック」によって、相手は新しい視点を見出したり考えが変わったりするような大きな気づきが促されることもあり、フィートバックを求めるためにコーチをつけると言われるくらい重要なスキルです。

才能がないことをいいわけにしない(2019/02/05)

一流のアスリートにみる自己基盤の強さ

一流アスリートは、やはりメンタルが強く、自己基盤がしっかりした人が多いといえます。そうした選手は、テレビや新聞のインタビューでも常にポジティブに次を見据えた受け答えをしていて、学ばせられます。

例えば、前サッカー日本代表の本田圭佑選手は、その代表格といえるでしょう。
絶対に最後まで諦めず、自分を信じて突き進む姿勢は、見事というほかありません。
「メンタルモンスター」とまで呼ばれているようですが、彼の言葉からは、自己基盤の中でも「自己信頼」が非常に強いことが伺えます。

信じることは希望

「俺は持ってる。俺は大きな将来しか見てない」
「信じることっていうのは、俺にとって希望なんです。信じられなくなったときに、希望の光は見えなくなる」
「俺はこんなもんじゃない。どれだけ成り上がれるか。ビッグチャンスだと思っている。俺の人生は挫折の連続。でもそこからはい上がろうとして、未知の世界を知ることもある。今は苦しいけど、真剣に向き合うことで、見えてくることがある」
「挫折は過程、最後に成功すれば、挫折は過程に変わる。だから成功するまで諦めないだけ」

本田選手のこうした発言の数々は、単なる強がりや根拠のないビッグマウスではなく、確固たる自己信頼に裏打ちされたものです。
彼は今でこそ世界で活躍する名選手ですが、かつてはガンバ大阪のジュニアユースからユースに昇格できなかった落ちこぼれ選手でした。

どんなに夢を持っていても、「自分には才能がない」と感じると、多くの人はそれをコンプレックスに感じて、「自分には向いていない」と諦めてしまいます。
しかし、本田選手は「自分は才能がない」と公言しつつ、決してそれをいいわけにはしていません。

むしろ天才肌ではないからこそ、人一倍努力することで、自分の可能性を引き出し、並みいる天才プレイヤーたちと肩を並べて戦っています。
彼は生まれつき才能があるから活躍できているのではなく、才能がない自分を認め、その自分を受け入れ、それでも自分には可能性があると信じ、自分の夢に向かって地道に努力しているからこそ、世界で活躍できているのです。

サッカーを通じて人間を育成したい

本田選手は次代の選手の育成にも熱心で、日本最大級のサッカースクール事業を展開しており、ユースとジュニアユースのクラブも立ち上げています。
その背景には、単にサッカーの上達ということだけでなく、「自分で考え、自分で決断する能力を伸ばす手助けをしたい。それは生きていく上で誰しも必要なことだから。サッカーを通じて、人間を育成したい」という思いがあるようです。
これは、まさにコーチングの考え方に通じることです。
自己基盤のある人は、自分の可能性を強く信じることがきるからこそ、人の可能性も信じることができるのです。

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